費用対効果では有利 サンヨン・コランド e-モーションへ試乗 拭えない荒削り感

公開 : 2022.06.20 08:25

韓国サンヨンのSUVに、純EV版が登場。洗練性は今ひとつでも、充実装備と手頃な価格が強みだと英国編集部は評価します。

ライバルより数割安いコランド

電気自動車に対する価値づくりは、内燃エンジン車ほど簡単ではない。自動車メーカーは、駆動用バッテリーが高価で利益率は低いと話す。それでも、変化は止められない。

英国で展開しているMGモーター社の場合、一気に純EVへシフトしたことで、販売台数は増加傾向だという。手頃な価格の純EVへの需要も、間違いなく伸びている。荒波に揉まれるサンヨンも、その成長へ注目しているに違いない。

サンヨン・コランド e-モーション(英国仕様)
サンヨン・コランド e-モーション(英国仕様)

SUVに特化している韓国の自動車メーカー、サンヨンは2020年に破産したものの、新たな投資家による救済手段を模索中。幾つかの企業が名乗りを挙げているようだ。

少なくとも、クロスオーバーやオフローダー、ピックアップトラックなど、4車種の純EVモデルを発売する計画が立てられている。今回試乗したコランド e-モーションもその1つ。英国市場へも、2025年までに順次導入予定だという。

このコランドは、日産アリアフォルクスワーゲンID.4といったモデルと同じセグメントに属する、中型SUV。しかし価格はお手頃で、英国では政府からの補助金を差し引くと、3万495ポンド(約497万円)になる予定。ライバルより数割安い。

英国では補助金が適用される車両価格に上限があり、ライバルはそのメリットを受けられないのだ。ただし、価格なりと感じる部分も少なくないけれど。

339kmの航続距離に充実の標準装備

純EV版のコランドは、従来の内燃エンジン版と同じプラットフォームを採用している。駆動用バッテリーは実容量で55.3kWhあり、この大きさのクロスオーバーとしては小さくない。

航続距離はWLTP値で339kmと充分。今回の試乗では、肌寒い天気の日に320kmは走れることを確認できている。

サンヨン・コランド e-モーション(英国仕様)
サンヨン・コランド e-モーション(英国仕様)

190psの駆動用モーターがフロントアクスル側に1基搭載され、動力性能に不足もない。最大100kWまで対応可能な急速充電能力は、ストロングポイントといえるだろう。

価格を踏まえると、装備も充実している。エントリグレードでも、モニター式のメーターパネルに、スマートフォンとのミラーリングに対応したインフォテインメント用タッチモニター、アダプティブ・クルーズコントロールなどの運転支援機能が付いてくる。

この内容で、3万495ポンド(約497万円)だ。ミドルグレードになると、LEDヘッドライトにヒーター内臓のフロントシートなどが追加され、約3万5000ポンド(約570万円)まで上昇する。

多くの自動車メーカーと同じく、サンヨンも新しい純EVとして、人目を惹くようなデザインをボディに与えた。効果的とはいい難いものの、鮮やかなブルーも差し色に用いられている。

フロントグリルはカバーで覆われ、若干違和感がなくもない。ボディカラーがホワイト以外の濃いめの色なら、もう少し印象は和らぐだろう。17インチのアルミホイールを標準で履くものの、こちらはちょっと安っぽい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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