25年の進化を辿る ランドローバー・フリーランダー x ディスカバリー・スポーツ 前編
公開 : 2022.06.18 09:45 更新 : 2022.08.08 07:08
より身近なランドローバーだったフリーランダー。誕生25年を記念し、ディスカバリー・スポーツと英国編集部が乗り比べしました。
ブランドに対する認識を塗り替えた
記念日を祝うことは良いものだ。誕生日以外でも。
クルマの場合は、過去のモデルを振り返ることで、これまでの年月にどれだけ変化を遂げたのか確認する機会になる。安全性能や動力性能、環境性能などの向上を、つぶさに感じ取ることができる。
大抵の場合は、古いモデルより新しいモデルの方が良くなっている。客観的に捉えれば。そして、それ以上の発見もある。
ランドローバーとして最も小さなSUV、フリーランダーが発売されたのは25年前。その後の同社にとって、極めて大きな意味を持つ存在だったといえる。近年も成長が止まらない、都会派SUVというカテゴリーに属する新しいモデルだった。
当時既に50年近い歴史を有していた、ランドローバーというブランドに対する認識を新しく塗り替えた。商業的にも技術的にも、その後へ続く布石になる結果を残した。2022年に改めてフリーランダーへ触れてみると、その事実を再確認させられる。
というわけで今回は、ジャガー・ランドローバー(JLR)社のお膝元、ロンドンから140km北のゲイドンにやってきた。初代ランドローバー・フリーランダーに試乗するため。本社にお邪魔したのではなく、英国モーター・ミュージアムの方だけれど。
AUTOCARの読者ならご存知かもしれないが、既にフリーランダーというモデル名は現行のラインナップから消えている。カテゴリーやサイズで辿ると、ディスカバリー・スポーツがその後継に当たる。フリーランダー3と呼んでも良いだろう。
モノコック構造に独立懸架式サスペンション
モデル名が変わった理由は、現在のJLR社がディフェンダーとディスカバリー、レンジローバーという3モデルを軸としたグループ化を進めているため。当時はモデル毎に、別の名前が与えられていた。ディスカバリー+スポーツという組み合わせではなく。
フリーランダーを振り返るうえで、モデル開発を率いたディック・エルシー氏にお話を伺うことができた。このコンパクトSUVは、重要な位置付けにあったという。
「当時、3年先までランドローバーの製品計画を見通した時に、空白と呼べるカテゴリーがあるとわかりました。そこで、レジャー向けの四輪駆動モデルを投入するという、野心的なターゲットを設定したんです」
急成長していた高級SUV市場において、レンジローバーはランドローバーの重要な役割を果たしていた。自社のブランド力を利用した、より身近な価格のモデルが同等の支持を得るであろうことは、明確だったそうだ。
その頃ランドローバーを保有していたブリティッシュ・エアロスペース社も、その計画に賛同。技術的に重要な意味を持つ、実験的なプロトタイプが作られた。
ボディと独立したラダーフレーム・シャシーをやめ、同社として初のモノコック構造を採用したことが最大の特徴。リジッドアクスルではなく独立懸架式のサスペンションとし、エンジンが横向きに搭載されていたことも、新しい1歩といえた。