オフロードと1600kmの遠征 ランドローバー・ディフェンダー 90(4) 長期テスト
公開 : 2022.06.25 09:45
いま最も注目度の高い英国製SUV、ディフェンダー。未踏の荒野から市街地までをカバーする実力を、長期テストで確かめます。
積算1万826km クルマが努力してくれる安楽さ
長期テストで乗っているランドローバー・ディフェンダー 90は、英国編集部のマット・プライヤーが自らコーディネートし、注文したものだ。彼はその完璧な見た目に興奮している。また、生産の遅れに対し不満も感じていたようだ。
そして今は、英国でも最も注目度の高いSUVへ筆者が乗っている。しかしプライヤーにも、ディフェンダー 90を楽しむ権利はある。そこでグレートブリテン島の西、ウェールズ地方のオフロードを走ってもらうことにした。
「簡単なオフロードでしたが、安楽に処理するという特長が際立っていました。ジープ・ラングラーやフォード・ブロンコは、クルマにユーザーが巻き込まれる感じです。ディフェンダーは、ドライバーに代わってクルマが努力してくれます」
「その視点でいえば、最もリラックスして運転できるSUVといえるでしょう」。と、プライヤーが印象を伝えてくれた。そして、さらに続ける。
「郊外の道幅の狭い区間では、広い全幅を意識せざるを得ませんね。ですが、四角いプロポーションなので感覚は掴みやすく、路肩にも寄せやすい。オフロード走行でも、グリップレベルなどへ集中する必要もありません」
「働くクルマとしても、これ以上に乗りやすいモデルは少ないと思います。深夜にタイヤ交換などが必要にならない限り」
現代社会に完璧にフィットする
さらに先日、プライヤーはロンドンからブガッティの本拠地があるフランス・モルスハイムへも、ディフェンダー 90で遠征した。総合的な能力の高さから、現代社会に完璧にフィットするモデルだと感じたらしい。
「最高でした」。と端的にひとこと。フォトグラファー1人を乗せ、荷室へカメラ機材一式を積んで、往復1600kmを走りきった印象をまとめる。
「リアシートを完全に折りたためないことと、4シーターとして乗れば荷室がかなり小さい点を除いて、素晴らしいクルマでした。高速での安定性は素晴らしく、乗り心地は路面の影響を受けず穏やか。満タンで走れる距離も長い」
「英国沿岸のケント州で満タンにして、モルスハイムまで走り、帰り道の半分くらいまでは無給油で走れました。燃費は10.5km/Lを超えていた感じですね」
「フロントシート側に、収納スペースが沢山あることも気に入りました。カップホルダーの下のトレイはモノが転がりますが、とりあえず手持ちの荷物を置くのに丁度いい」
「各所で電源が取れることも便利です。スマートフォンのペアリングには手間取ってしまいましたが」
ディフェンダーがラグジュアリーになり、オフロード走行しにくくなったという考えを、プライヤーは否定する。非常に能力が高く、オンロードもオフロードも快適だと。
「荒削りだったり洗練不足という側面は、まったくありません。凄く気に入りました」