オースチン・ヒーレー100をレストモッド ケイトン・ヒーレーへ試乗 親密なメカとの関わり

公開 : 2022.07.04 08:25  更新 : 2024.08.16 16:35

英国の技術企業がレストモッドを手掛けた、オースチン・ヒーレー100。英国編集部が一般道で評価しました。

僅かに手が加えられた美しいボディ

筆者は、オースチンヒーレーはクラシック界の英国版マッスルカーだと考えてきた。ボディサイズも、大きいと記憶していた。だが、ケイトンによるレストモッド・モデルを目前にして、想像以上に小柄だったと実感した。

ケイトンというブランドは、英国のエンジニアリング企業、インヴィジジ社が新たに立ち上げたもの。同社が得意とする分野が、ジャガーXKSSやDタイプといった、非常にレアなクラシックカーの復刻版ボディを製造することだ。

ケイトン・ヒーレー(欧州仕様)
ケイトン・ヒーレー(欧州仕様)

それが反映して、今回試乗したクルマも非常に美しい。見事な仕事ぶりといえる。

ケイトンの技術者は、1953年から1955年にかけて作られた、オースチン・ヒーレー100/4、シリーズBN1のスタイリングへ僅かに手を加えている。基本的にはオリジナルと非常に似ているが、フロントグリルの造形などが異なる。

ボディサイドには、大きなエアベントが開けられている。ドアハンドルも省かれている。インテリアの仕上げも素晴らしい。これから25台を製造する予定にあり、オーナー次第で様々なカスタマイズも可能だという。

キャビン後方のデザインが変更されており、車内は広々としている。スペアタイヤやソフトトップは備わらない。センタートンネルも小ぶりだ。

187psの3.0L直列4気筒に5速MT

美しい見た目だけではない。ヒーレーのクラシックカーを得意とする、JME社によるメカニズムによって完成されている。

エンジンは、オリジナルの2.6Lから3.0Lへ拡大された、自然吸気の直列4気筒。最高出力は187ps、最大トルクは26.9kg-mを発揮する。トランスミッションはオーバードライブ付きの3速から、5速マニュアルへ載せ替えてある。

ケイトン・ヒーレー(欧州仕様)
ケイトン・ヒーレー(欧州仕様)

ドアを開き、シートの背もたれを掴みながら腰を下ろす。新しいペダルボックスに据えられた3枚のペダルは、かなり奥の方に位置している。ステアリングホイールは大きく直立気味で、位置は調整できない。

エンジンを目覚めさせると、荒々しいノイズとともに、ボディを揺らす振動を伴ってアイドリングを始める。エグゾーストは、左側の低い場所へ導かれている。エンジンが温まると、往年のレーシングカーのようなサウンドに変わった。排気ガスの匂いも。

クラッチペダルは若干重めだが、扱いやすい。ステアリングホイールも同様。シフトレバーは、ストロークは長いものの滑らかに動く。エンジンは低回転域で少々息苦しそうに感じられたが、難なく発進できた。

このケイトン・ヒーレーは、カリカリのレストモッドというより、レストアに近い。運転してみると、クラシックカーのような印象がしっかり残っている。

タイヤはミシュランのラジアルで、15インチの185/70というサイズ。乗り心地には落ち着きがあり、姿勢制御も良好。路面が酷く荒れていると、大きな衝撃がまれにドライバーを襲う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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