メルセデスAMG EQS 詳細データテスト 楽に飛ばせて快適 低速域は洗練性が不足 質感は不満も
公開 : 2022.06.26 18:25 更新 : 2022.07.11 08:28
メルセデス初の専用設計EVを、AMGモデルでテスト。EVのSクラスとしては質感も洗練度も不満ありですが、航続距離は長く、高速域では快適。動力性能は文句なく、ハンドリングもまずまず。今後のさらなる改善に期待です。
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
ー内装 ★★★★★★★☆☆☆
ー走り ★★★★★★★★★☆
ー使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
ー操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
ー快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★★☆☆
はじめに
メルセデスほどトラディショナルなメーカーが、新たなカテゴリーの先頭を争うために果敢な征服者のようなモデルを投入するとは、考え難いかもしれない。しかし、最近のメルセデスがトラディショナルかどうかは議論の余地がある。また、そういうことが起こるということは、自動車業界の競争がいかに激化しているかを示す物差しにもなる。
クロスオーバー乱立の口火を切った1998年のMクラスを別にしても、メルセデスには奇をてらわず、それでいてまったく斬新なモデルでセグメントのトップを脅かしたことがある。それも、この10年ほどで3度もだ。
まずは、フォルクスワーゲン・ゴルフのシェア奪取を狙った3代目Aクラス。次に、ポルシェ911オーナーを振り向かせようとしたAMG GT。そしてもうひとつが、今回のクルマ、EQSである。
この完全電動サルーンは、シュトゥットガルトのEVラインナップにおけるフラッグシップとなる。目指すはテスラ・モデルSの撃墜、といったところだろう。
しかしこのEQSには、それ以上に大きな意味がある。欧州市場における、来るべき2030年の完全電動化に向けて、メルセデスを牽引する役割が期待されているのだ。
ソフトウェアのオーバー・ジ・エア(OTA)アップデートをはじめ、自動車業界のトップレベルを誇る空力効率や航続距離、無数のテクノロジーを詰め込んだインフォテインメントと衝突安全機能。そうした数々は、その価格に見合った充実ぶりだ。
プラットフォームは下位セグメントのEQEや、さらに2車種のSUVにも使われる予定で、それゆえに出来のよさが求められる。電動化時代のSクラスというべきこのEQSをテストすることで、ジンデルフィンゲン工場から今後送り出されるモデルの未来も占えるのではないだろうか。