新たな電動クロスオーバー ジャガー、2025年までに3台の新型EV発売 ブランド再興目指す

公開 : 2022.06.29 19:05  更新 : 2022.06.29 19:17

ジャガーは2025年までに3台の電動クロスオーバーを投入する計画を明らかにしました。新開発のプラットフォームやモーター技術、持続可能素材を使用した次世代ラインナップを構築します。

高級路線の電動クロスオーバー

ジャガーは、2025年に3台の電動クロスオーバーを発売する計画を明らかにした。年間5万~6万台のEVを製造する高級EVブランドとして、新たな領域に足を踏み入れようとしている。

3台の新型車には、「パンテーラ」と呼ばれる新開発のプラットフォームを導入し、ジャガー・ランドローバーの英国ソリハル工場で製造する予定だ。

ジャガーは高級EVブランドとしての地位を確立すべく、電動クロスオーバーを開発中だ。(画像は予想レンダリング)
ジャガーは高級EVブランドとしての地位を確立すべく、電動クロスオーバーを開発中だ。(画像は予想レンダリング)    AUTOCAR

2年前にジャガー・ランドローバー(JLR)のCEOに就任したティエリー・ボロレは、ジャガーのラインナップを再構成する計画を発表。数か月のうちに、ランドローバーのデザインチーフであったジェリー・マクガバンがグループ・クリエイティブ・ディレクターに昇格し、ジャガーのデザインチームも大きく再編された。しかしそれ以来、将来の計画についてはほとんど触れられてこなかった。

最新の情報によると、エントリーモデルとしては、レンジローバー・スポーツに近いコンパクトモデルが導入されるという。3ドアと5ドアのボディタイプがあり、それぞれ別のモデルとして分類される。価格は8万~9万ポンド(約1300万~1500万円)程度となる見込みだ。

パワートレインはシングルモーターとデュアルモーター(2輪駆動と4輪駆動)が用意され、高性能モデルの「SVR」もほぼ間違いなく設定されるだろう。

ジャガーブランドの伝統守れるか

また、フラッグシップモデルとして大型のクロスオーバーも計画されている。後部座席のスペースを広くとった、中国市場と北米市場で好まれる高級志向のモデルとなる見込み。デュアルモーター、4輪駆動のレイアウトが標準仕様となりそうだ。価格はおよそ12万ポンド(約2000万円)からとされているが、20万ポンド(約3300万円)近いSVRモデルも導入されるだろう。

JLRがジャガーの将来像について2年間も沈黙してきたのは、経営陣がジャガーのような長い歴史と伝統を持つブランドをオーバーホールすることのリスクに直面していたからだと考えられている。同社の幹部であるニック・コリンズによれば、新モデルを発表する前に「何か素晴らしいものを見せる」準備をしているとのこと。

2024年には、新型車のコンセプトモデルを見ることができるだろう。(画像は予想レンダリング)
2024年には、新型車のコンセプトモデルを見ることができるだろう。(画像は予想レンダリング)    AUTOCAR

新型コロナウィルスの感染が広がる直前の2019年の世界販売台数は、レンジローバーが約5万5000台、レンジローバー・ヴェラールが約6万台、レンジローバー・スポーツが約8万5000台であった。こうした実績から、ジャガーも市場に受け入れられれば年間5万台を売ることも可能だという自信につながったのだろう。

ジャガーの言う「非常にエキサイティング」なデザインの新型車は、2024年にモーターショーなどでコンセプトとして公開されると見られている。

ジャガーのEV開発は、現在、サプライチェーンの問題と部品不足によって、困難な状況に陥っている。JLRは、世界的な半導体不足の影響を非常に強く受けているようだ。しかし、同社の幹部によると、新型レンジローバー、レンジローバー・スポーツ、ランドローバー・ディフェンダー130を無事にリリースしたことで、リソースをジャガーに集中させられるようになったという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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