2.0L直4が繰り出す407ps メルセデスAMG C 43へ試乗 電動アシスト・ターボ採用

公開 : 2022.07.10 08:25

5代目CクラスにAMGの43が登場。速さは変わらずでも、4気筒化で興奮度は若干薄まったと英国編集部は評価します。

電動アシスト付きターボを搭載

AMGといえばV型8気筒という時代が続いていたが、2013年にA 45で直列4気筒が仲間入りしていた。遡れば1980年代にも、190E 2.3-16や2.5-16といった後輪駆動の高性能サルーンが存在していた。エボ2の見た目は、強烈だった。

新しいメルセデスAMG C 43にも、ターボチャージャーで過給される2.0L直列4気筒エンジンが載っている。効率性を求める、AMGのダウンサイジング時代の幕開けを告げるユニットとして。

メルセデスAMG C 43 4マティック(欧州仕様)
メルセデスAMG C 43 4マティック(欧州仕様)

ちなみにこの4気筒エンジンは、一層の高出力化が図られたうえで、C 63 プラグイン・ハイブリッドにも搭載予定だという。C 43の方には駆動用モーターは載らないが、電圧48Vの電気モーターが内蔵されたターボが組まれている。

このギャレット社製ターボを回すモーターは小さく、タービンのシャフトに直結している。最大で8psのパワーアシストが可能で、17万5000rpmまで回るらしい。排気ガスのエネルギーを利用し、4kW分のエネルギー回生も可能となっている。

電気モーターは、排気ガスの流量がブースト圧を高めるのに不十分な場合に、タービンを回転。エンジンのレスポンスを改善し、出力を高めてくれる。

また積極的なドライブモードを選ぶとタービンを回転させ続け、ブースト圧を保ってくれる。現代版のアンチラグ・システムといったところだ。

ブースト圧を維持しターボラグを減らす

その結果、2.0Lながら最高出力は407ps、最大トルクは50.9kg-mを獲得した。エンジンの補機ベルトには、同じく電圧48Vで稼働するスターター・ジェネレーター(ISG)も組まれており、効率を高めている。

駆動力は、トルクコンバーターではなく、ウェットクラッチ式の9速ATへ伝えられる。さらに前後で31:69の分配比率に固定された独自の四輪駆動システム、4マティックを介して、路面へ展開される。

メルセデスAMG C 43 4マティック(欧州仕様)
メルセデスAMG C 43 4マティック(欧州仕様)

四輪操舵システムと、アダプティブダンパーは標準装備だ。

AMGというエンブレムを除いて、通常のメルセデス・ベンツCクラスとの見た目の差は限定的。ボディとしては、ラジエターグリルと、大型化されたサイドスカート、テールリッドに追加された控えめなウイング程度となっている。

リアバンパーの下からは、左右2本づつという迫力のマフラーが顔をのぞかせる。4気筒エンジンのクルマとしては、本数は多めといえる。

C 43を発進させると、ターボが電動モーター内蔵の新しいものだ、という事実は感じにくい。それでも、低速域では強調された吸気ノイズが車内へ響き、アクセルペダルへのレスポンスも鋭い。

深く踏み込んだ状態から急に放し、もう一度深く踏んでも、素早くエンジンは反応する。ブースト圧を維持し、ターボラグを減らすというメルセデスAMGの主張に、偽りはないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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