シトロエン 新型e-C4 X欧州発表 フランスらしい変化球 ニッチなファストバックSUV登場

公開 : 2022.07.01 18:05

シトロエンは、e-C4をベースとした新型車「e-C4 X」を欧州で発表しました。SUVとファストバックを融合したような独特のスタイリングが特徴的で、ボディ後部が約200mm延長されています。

ニッチを攻める個性派EV リアボディ延長

シトロエンは、新型EV「e-C4 X」を欧州で発表した。既存のe-C4をベースとしたファストバックスタイルの新モデルである。

新型e-C4 Xのフロント部分は標準のe-C4と同じだが、Bピラーから後方にかけて大きく変更されている。シャープなファストバックボディとなり、全長は4600mmに拡大された。e-C4より240mm長く、上位モデルのC5 Xより200mm短いサイズだ。

シトロエンe-C4 X
シトロエンe-C4 X    シトロエン

ステランティスの小型車用プラットフォーム「CMP」を採用する市販モデルとしては、最長となる。ホイールベースは2670mmと変わらないが、後席とトランクのスペース拡大に焦点が当てられており、後席シートバックは27度までリクライニングできるようになったほか、ニールームは198mmに拡大された。

リアは独自のデザインが採用され、C5エアクロスのようなブラックトリムのほか、新しいLEDライトとバンパーなどを装備している。

一部市場ではガソリン・ディーゼル車も

インテリアは標準のe-C4とほぼ同じだが、10インチのタッチスクリーンを搭載。C5 Xで初めて導入された車載システム「マイ・シトロエン・ドライブ・プラス」が採用されている。

パワートレインは、最高出力136ps、最大トルク27kg-mの電気モーターと50kWhバッテリーを搭載する。0-100km/h発進加速は9.5秒、最高速度は150km/hに制限されている。空気抵抗係数は0.29と空力に優れ、航続距離はe-C4より8km多い360kmとなる。

シトロエンe-C4 X
シトロエンe-C4 X    シトロエン

シトロエンは、一般的なファミリー層だけでなく、後席とトランクスペースの広さから欧州の個人タクシードライバーにも受け入れられると見込んでいる。

また、このクルマは世界戦略車として開発されており、4ドアのファストバックスタイルは中東やアフリカでの人気を狙ってのものだ。これらの市場や一部の欧州諸国ではガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車も導入される(C4 X)が、英国、北欧、および一部の西ヨーロッパ市場では、完全EVのみが導入される予定だ。日本市場への導入情報は、記事執筆時点では確認されていない。

e-C4 Xは、ステランティスのスペイン・マドリード工場で、通常のC4と同じラインで生産される予定。本年末に受注を開始し、納車は2023年初頭からの予定となっている。

なぜこのクルマを作ろうと思ったのか

英AUTOCAR編集部は、シトロエンのデザイン責任者、ピエール・ルクレール氏にインタビューを行った。

――このクルマの開発は、どのように始まったのでしょうか?

「戦略部門からのリクエストは、C4をベースにもう1台作ってほしい、でも全長4.6mで大きなトランクが必要だ、というものでした。とはいえ、単なるリムジンではなく、エキサイティングでセクシーなものでなければなりません。そこで、スーパーセクシーで伸びやかなものにしようと思い、リアを寝かせ、ほぼ唯一無二の姿勢を与えたのです」

――e-C4 Xは、シトロエンのデザイン哲学をどのように表現しているのでしょうか?

シトロエンe-C4 X
シトロエンe-C4 X    シトロエン

「C5エアクロスでもご覧いただけるように、当社のデザイン哲学はより進化しています。ボディライトやカラー、コントラストなど、すべてにおいてピュアでシンプルなシトロエンのフォーマットをベースとしながら、ディテール部分をシャープで立体的に際立たせるという、自動車らしくないものにしたかったのです」

――一部の市場ではEVのみの販売となりますが、マルチパワートレイン(エンジン車にもEVにも対応)のプラットフォームを使用しています。この経験は将来的に、EV専用プラットフォームによる新型EV開発に活かせますか?

「明らかに自由度を広げてくれるでしょう。エクステリアやオーバーハング、室内空間など、電動プラットフォームで実現しようとしていること、そして実現できることは、とてもクールなものばかりです。わたしにとって、EVの最大の利点はインテリアとフィーリングにあります。ボリューム感がまったく違うので、新しい環境にいるような感覚になるんです。わたしはまだ作ったことがないので、これから挑戦したいと考えています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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