エンジンに失望させられた名車 24選 パワー不足や故障に泣いた不運のモデルたち
公開 : 2022.07.09 06:05
どんなに優れたクルマでも、搭載するエンジンがダメなら色褪せてしまいます。パワー不足、信頼性の低さ、快適性の低さなどに苦しめられたモデルを振り返ります。
もくじ
ークルマの良し悪しは「ハート」で決まる?
ーMGAツインカム(1958年)
ークライスラー・ガスタービン(1963年)
ーヒルマン・インプ(1963年)
ーNSU Ro80(1967年)
ーオースチン3リッター(1967年)
ートライアンフ・スタッグ(1970年)
ージェンセン・ヒーレー(1972年)
ートライアンフ・ドロマイト・スプリント(1973年)
ーボルボ260(1974年)
ーランチア・ガンマ(1976年)
ーGMのV8ディーゼル車(1978年)
ーメルセデス・ベンツ300SD(1979年)
ーシボレー・コルベット305カリフォルニア(1980年)
ーキャデラック(1981年)
ーシボレー・カマロ(1982年)
ーポンティアック・フィエロ(1983年)
ークライスラーTCバイ・マセラティ(1986年)
ーレンジローバーのディーゼル車(1986年)
ーハマーH1(1992年)
ーMGF(1995年)
ーTVRサーブラウ(1999年)
ーマツダRX-8(2003年)
ーBMW 3シリーズ(2004年)
ーランドローバー・ディスカバリー3(2004年)
クルマの良し悪しは「ハート」で決まる?
自動車史に名を残すほどではないにしても、成功作と呼べるクルマは数多く存在する。成功するか否かにはさまざまな要因が絡んでくるが、エンジンの優秀さに左右されるところも大きいだろう。良くないエンジンを搭載してしまったせいで、成功を掴みそこねたクルマはとても多い。
あまり評価されないエンジンの特徴は、信頼性の低さ、洗練度の低さ、パワー不足、あるいはこれらすべてを備えている。今回紹介するクルマは、「ダメなエンジン」のせいで日の目を見ることができなかった者たちだ。パワートレインの誤った選択によって、その運命を決定づけられてしまったのである。
MGAツインカム(1958年)
英国のスポーツカーブランド、MGが開発したMGAは、華麗なラインとスイートなハンドリングを持つ、非常に魅力的なクラシックカーである。ほとんどのモデルが1.5Lまたは1.6Lのオーバーヘッドバルブエンジンを搭載しているが、2000台以上の個体が、標準的なMGAのBシリーズユニットをベースに開発されたツインカムエンジンを搭載していた。
MGAにのみ搭載されたこのダブルオーバーヘッドカムエンジンは、最上級の燃料と正確な点火タイミングを要求してくる。どちらが欠けてもピストンに穴が開きやすく、また、調子が悪いと拗ねてオイルを燃やすという悪癖があり、ユーザーからは敬遠されてしまった。
クライスラー・ガスタービン(1963年)
本格的な量産に至らなかったこのクルマを取り上げたのは、クライスラーをバカにしたかったからではない。限界に挑戦する自動車メーカーがなければ、我々のカーライフ、ひいては社会環境も大きく変わっていたかもしれない。しかし、クライスラー・ガスタービン(ターバインとも呼ばれる)は、あまりにも行き過ぎた実験であった。
このクルマは一般的なピストンエンジンとは異なる、自社開発のタービンエンジンを搭載。最高6万rpmまで回転させることができるという。わずか50台しか製造されず、実地評価のために一般家庭に貸し出されたのみで、市販化には至っていない。
航空機のジェット化が進み始めた時代の先進的なパワートレインであったが、緩慢な加速、衝撃的な燃費、複雑な始動方法、快適性の低さ(騒音)など、支払う代償が高すぎた。そのため、通常のV8エンジンの方がはるかに良いと結論づけられている。
ヒルマン・インプ(1963年)
インプは、その軽量なボディ、スムーズな変速、軽快なエンジンなど、名車となれる素質を多く備えている。リアに搭載されたオールアルミ製875cc水冷4気筒エンジンは、とてつもない運転の楽しさをもたらし、ミニに対抗するのにも十分な性能を持っていた一方で、泣きどころの1つにもなっていた。
初期型では空気圧式スロットルの問題だけでなく、オーバーヒートでヘッドガスケットが吹き飛んだり、シリンダーヘッドがゆがんだり、ブロックが変形したりすることがよくあった。後期型ではほぼ解決されたが、インプの名声はそのころには崩れていた。