MSOでカスタマイズ体験 マクラーレンGT(5) 長期テスト 長期的に見ればお値打ち?
公開 : 2022.07.24 09:45
最高出力620psのグランドツアラー、マクラーレンGT。英国編集部が毎日の通勤に利用し、その能力を検証します。
積算4840km カスタマイズを請け負うMSO
長期テストで借りているマクラーレンGTのボディには、特別なペイントが施されている。エリート塗装と呼ばれる1つ上のオプションカラーで、鮮やかなベリーズ・ブルーで仕上げてある。
この塗装を選ぶ場合、英国では4000ポンド(約67万円)を追加する必要がある。まあ、正直いって安くはない。
とはいえ、車両価格に対する金額の割合を比べると、さほど法外ではないこともわかる。フォルクスワーゲン・ゴルフでパール塗装のオリックス・ホワイトを指定すると、車両価格の4.52%が必要になる。一方、GTの場合は2.45%で済んでいる。
それは別として、このボディは極めて美しい。玉虫色などの特徴的な塗装といえばTVRが得意とする分野だったが、近年は塗料や塗装技術が発達し、マクラーレンを含む他の自動車メーカーも個性的な仕上がりを選べるようになっている。
そして、工業的な技術が進化したといっても、個別オーダーの塗装を仕上げるのは職人さんの腕。マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)の出番となる。
サリー州ウォキングの拠点から誕生する、特別なマクラーレンを目にしたことのある読者もいらっしゃるはず。2019年のジュネーブ・モーターショーでお披露目された、720S スパイダーなどは、その1台だ。
現代芸術の作品のように美しい塗装
職人たちの技術によって仕上げられるボディには、息を呑むほど見事なものも多い。現代芸術の作品以上に感動し、見入ってしまうこともある。
もちろん、マクラーレン自らのPRだけでなく、大切な顧客のワガママに応える部門でもある。北米市場のみで提供された、セナがベースとなった15台限定のスーパーカー、セイバーも彼らの手による。
小さなキーフォブの塗装も請け負ってくれる。お望みなら、純金のエンブレムも作ってくれる。必要な金額を用意できれば。
というわけで、今回はマクラーレンのMSOへお邪魔することにした。ワークショップ
は、ありきたりな工業地帯の一角にあるが、スーパーカーを購入するという夢見心地を体験することができた。
筆者が取材で訪れた日には、公道仕様のマクラーレンF1 GTが、別のF1と一緒に並んでいた。ソリッドホワイトに塗られた姿は、ひときわカッコいいものだった。エルヴァとセナも、当たり前のように停まっていた。
マクラーレンのエントリーモデルに該当するGTも、当然MSOへカスタマイズを依頼できる。今回はグローバル・ビスポーク部門のマネージャー、ニール・アンダーウッド氏と、事業戦略を仕切るグラハム・チェンバーズ氏が、優しく出迎えてくれた。