ドライバーを喜ばせる天才 フォード・フォーカス STへ試乗 2.3L 4気筒ターボで280ps 前編

公開 : 2022.07.26 08:25

フェイスリフトで内外がリフレッシュされたフォーカス ST。熟成されたホットハッチの英国評価はいかに?

オレンジ色が選べなくなったフォーカス ST

フォード製ファミリー・ハッチバックの高速仕様、フォーカスSTがモデル中期のマイナーチェンジを受けた。その1番のトピックは、メタリック・オレンジのボディカラーが選べなくなったことではない。だが、残念に感じる人もいるだろう。

タンジェリン・スクリームと呼ばれた鮮やかな仕上がりは、これまでもフォードのホットハッチを際立たせてきた。先代では、5気筒エンジンの特徴的なサウンドを、より気持ちよく響かせていたように思う。

フォード・フォーカス ST オートマチック(英国仕様)
フォード・フォーカス ST オートマチック(英国仕様)

2022年のフォード・フォーカス STでビビッドな色を求めるなら、気持ち落ち着き気味のレッドを選ぶか、今回の試乗車のように、ミーン・グリーンを指定するのが良いかもしれない。新色として設定されている。

ただし最近は、多くの新モデルがグリーンをイメージカラーにする傾向がある。オレンジの方が、より特別な印象を与えてくれたと筆者は思うのだが、いかがだろう。

もちろん、ボディカラー以外にも様々なリフレッシュを受けている。ヘッドライトはアダプティブLEDになり、スタイリングのディティールも、通常のフォーカスと同様に手が加えられた。

高性能版として、ラジエターグリルやバンパー両サイドのエアインテークは、通常より大型化されている。サイドシルやリアハッチのスポイラーもひと回り大きく、ホットハッチらしいルックスに仕立てられている。

最新システムに13.2インチ・モニター獲得

一方、英国フォードはラインナップのスリム化を図っており、トリムグレードは1つに絞られた。従来までの、ST-2とST-3は廃版になっている。そのかわりというべきか、マットマグネット・グレーに塗られた19インチ・アルミホイールが足もとを飾る。

フォーカス STの装備は充実しているとはいえ、英国価格はフェイスリフトで約3000ポンド(約50万円)も値上げされている。試乗車の5ドアでATモデルの場合は、3万6410ポンド(約608万円)から。MTなら1450ポンド(約24万円)安いけれど。

フォード・フォーカス ST オートマチック(英国仕様)
フォード・フォーカス ST オートマチック(英国仕様)

英国では、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIの方がまだ若干高いものの、上級ブランド側の値段であることは間違いない。お手頃に動力性能を求めるなら、ヒョンデi30 Nというチョイスもある。

アップデートによって、フォーカス STは最新のシンク4と呼ばれるインフォテインメント・システムを獲得。ダッシュボード上部に13.2インチのタッチモニターが据えられ、スマートフォンとのミラーリングに無線で対応する。

バング&オルフセン社のオーディオと、スマートフォンのワイヤレス充電機能は標準装備。インテリアデザインも巧みにモダンさを高めているが、それにあわせて実際に押せるハードスイッチ類の数が削られた。

ヒーターとファンのコントロール系は、タッチモニターに集約されている。それでも、モニター上には常時表示されているから、前方から目線をそらすのは短時間で済むだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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