ガソリン価格高騰にようやく歯止め? 英国で数か月ぶりに下落も楽観視はできず
公開 : 2022.07.19 19:05
英国ではガソリンと軽油の販売価格が数か月ぶりに下落を始めました。7月上旬と比較して1Lあたり約5円の値下がりとなっていますが、専門家は「中期的には明るい話ではない」と指摘しています。
卸売価格の下落がようやく販売価格に反映
英国では、ガソリンと軽油の販売価格が数か月ぶりに下がり始めている。過去最高値をはるかに超える高騰が続き、一般的な乗用車への給油時の平均価格が100ポンド(約1万6000円)を大きく上回っていた。
AA(英国自動車協会)によると、今月初めから満タン給油分の価格が1.50ポンド(約248円)下がり、卸売価格が同じペースで下がり続ければ、2週間以内に消費者の負担は10ポンド(約1650円)下がるとのことである。
英国全土で、ガソリンの平均価格は1Lあたり188.76ペンス(約312円)、軽油は1Lあたり196.96ペンス(約325円)に値下がりした。7月上旬の平均からおよそ3ペンス(5円)の下落である。
燃料の卸売価格の高騰は、ウクライナで続く戦争の影響で原油価格が高騰していることが原因だ。
AAの広報担当者であるルーク・ボスデット氏はBBCの取材で、「ガソリンの卸売り状況がこのまま続けば、過去最高値から1回の給油あたり10ポンドの節約につながりますが、燃料取引に転嫁する用意があればの話です」と語った。
「問題は、多くの地域で6週間以上にわたってコストが低下しているにもかかわらず、値下げが行われていないことです」
政府当局も同様の懸念を持っており、英国での燃料費高騰を食い止める方法を全面的に見直すとしている。CMA(競争・市場庁)によると、小売業者が購入する燃料の卸売価格と給油所での販売価格に、平均して1Lあたり約10ペンス(約16円)の差があるという。
しかし、燃料卸売価格の下落が消費者負担の軽減につながっているとはいえ、依然として高止まりが懸念される。
エネルギーアナリストのデイビッド・コックス氏はBBCに対し、原油価格は下落しているものの、ウクライナで続く戦争により、高止まりする可能性が高いと語った。
「戦争が激化している間、原油価格は上昇する以外には考えられません。ガソリン価格にとっても中期的には明るいニュースとは言えません」
価格上昇のもう1つの要因は、欧州がロシアからの供給への依存度を下げようとしていることだ。
「問題は、ロシアの石油生産量の代替ができないことです」とコックス氏。「多少の変動はあるかもしれませんが、基本的に原油は上昇を続け、ガソリン価格にも上昇圧力がかかり続けるでしょう」