ついに復活? 波紋のTVR、電動モデル3車種投入 グリフィスEV公式画像公開

公開 : 2022.07.28 20:05

英国のスポーツカーブランドであるTVRは、新型グリフィスのV8仕様とEV仕様を2024年に発売する計画です。2017年に初公開されてから5年。なぜここまで遅れたのか、また今後の展望を同社トップに訊きました。

2024年に新型グリフィス発売 EV仕様も

英国のスポーツカーメーカーであるTVRは、2024年に事業を本格的に再始動し、新型グリフィスの生産を開始する。そのわずか半年後にはグリフィスのEV仕様が発売される予定だ。その後、さらに電動セダンとSUVと思われる2台の量産化が予定されているが、発売時期は未定。

この復活プロジェクトは、同社オーナーのレス・エドガー、CEOのジム・ベリマン、主要投資家でリチウム企業であるEnsorcia Automotiveの会長ダニエル・レイトンらがAUTOCARに独占的に明らかにしたもの。電動化を機会に、TVRをグローバルな高級車メーカーにする長期計画の始まりとなる。

TVRによる新型グリフィスEVの公式レンダリング画像
TVRによる新型グリフィスEVの公式レンダリング画像    TVR

2013年にTVRの所有権を獲得し、2014年にゴードン・マレーとともにグリフィスの開発を開始、そして2017年にプロトタイプを公開するという、TVRの再出発からここまでの長い道のりについて、レス・エドガーは次のように語っている。

「予想以上に時間がかかってしまいましたが、将来の成功に向けて、すべてが整いました」

「クルマとしては、ゴードン・マレーが設計し、彼の革新的な製造プロセスを用いて製造する準備ができています。TVRの75年の歴史にふさわしい製品であるということは、あらゆるフィードバックからも明らかになっています」

「しかし、重要なのは、EVで持続可能な未来を築くための適切な投資と正しい道筋を得たということです。当社は、製造現場における作業を開始し、2024年の発売に向けて準備を整えました」

グローバル展開を視野に 英国での製造計画は

新型グリフィスは、2017年に初めて公開されたプロトタイプとほぼ同じ仕様で発売される。コスワースの手も入ったフォード製の自然吸気5.0L V8エンジンを搭載し、最高出力450~500psを発生。6速MTが用意される予定だ。

エドガーはグリフィスについて、顧客からまだ「数百件」の予約が入っている状態だと述べたが、新しいEV仕様に注文を変更する人がいるかもしれないと認めている。

2017年に初めて公開されたTVRグリフィス
2017年に初めて公開されたTVRグリフィス    TVR

TVRは、ゴードン・マレーが提案する製造プロセス「iStream」を自社以外で初めて活用する可能性がある(iStreamはヤマハにも提供されている)。製造拠点はまだ確定していないが、TVRはウェールズ政府と密接な関係にある。ウェールズ政府は2016年に200万ポンド(約3億円)の融資とともに3%の株式を取得したが、TVRは今年初めに未払い利息とともにそれを返済しているため、ウェールズ以外に拠点を構える可能性もある。

ベリマンCEOは、「もうすぐ決断を下すことになる」としながらも、「しかし、すべての決断は、会社の長期計画を念頭に置いて行わなければなりません。TVRの中心は英国にありますが、世界的な計画拡大を目指す中で、他の場所での製造も視野に入れた機敏な対応を期待しています」

電動モデルのグリフィスEVについては、公式のスタイリング画像が公開されている。V8モデルと同じプラットフォームを採用する予定だが、電動セダンやSUVをはじめとする将来のモデルについては、スケートボード・プラットフォームを製造する「世界的に定評のある」企業と交渉中であるという。

販売はTVRが直接行い、国際的な注文に対応するためにオンラインシステムを構築する予定。当初は英国に焦点を当て、3つの「ブランド体験センター」を開設し、車両とオプションを展示する。

V8モデルのグリフィスは、初期限定モデルが500台用意され、その価格は9万ポンド(約1480万円)から。EV仕様の価格は明らかにされていないが、15万ポンド(約2500万円)前後になると考えられる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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