未来版ガソリンスタンド アウディQ4 eトロン(8) 近づくBEV化の社会 長期テスト

公開 : 2022.08.20 09:45

純EVでのプレゼンス拡大を狙うQ4 eトロン。電動時代における上級ファミリー・クロスオーバーの魅力を確かめます。

積算1万480km インフォテインメントのエラー

長期テストにお借りしているアウディQ4 eトロン・スポーツバックを、検査のためにディーラーへ一時的に戻した。インフォテインメント・システムの調子が悪くなり、警告灯が複数点灯し、ヘッドアップ・ディスプレイが動かなくなったのだ。

システムを再起動すれば、毎回復調はするのだけれど。

アウディQ4 eトロン 40 スポーツ(英国仕様)
アウディQ4 eトロン 40 スポーツ(英国仕様)

積算1万1032km 片道270kmの小旅行へ

アウディQ4 eトロン・スポーツバックで、グレートブリテン島の西部、ノーフォークまで1泊2日の小旅行に出た。航続距離は気温や道路状況によって320kmから480kmの間で変化するとはいえ、片道270kmの行程なら余裕でこなせる。

目的地では、日産リーフを所有する友人宅へ宿泊。一晩かけて充電して、自宅へ戻るという計画を立てた。筆者が応援するサッカーチームは惜しくも負けてしまったが、感情的なうっ積を発散することはできた。

アウディQ4 eトロン・スポーツバック 40 スポーツ(英国仕様)
アウディQ4 eトロン・スポーツバック 40 スポーツ(英国仕様)

ロンドンの西にある筆者の自宅、バークシャーからノーフォークまで走行して、駆動用バッテリーの残量は30%。今回は温かい初夏だったが、冬場より20%近くも向上していた。これが、現在のBEV(バッテリーEV)の特性といえる。

翌朝になってQ4 eトロンに戻ってみると、バッテリーの残量は30%のまま。どうやら、充電器の電源を入れるのを忘れたらしい。

もし1か月ほど前であれば、急速充電器を求めて右往左往したはず。でも今回は違う。

つい先月、ノーフォークにも急速充電器が使えるグリッドサーブ・エレクトリック・フォアコートという施設がオープンした。ラウンジのような場所で過ごしながら充電完了を待てる新しいスポットで、BEV版、未来のガソリンスタンドといえる。

22台の急速充電器が並ぶ新スタイル

友人の家から5分ほどで、グリッドサーブに到着。敷地内には22台もの350kWの急速充電器が並んでいた。早速その1カ所で、Q4 eトロンを充電させてもらう。

充電器の前にクルマを停めたら充電ケーブルを繋いで、非接触決済パッドで支払い手続きをし、必要な金額を選ぶだけ。数分で充電を開始できる。余計なアプリをスマートフォンにインストールする必要もない。

英国の急速充電スポット、グリッドサーブ・エレクトリック・フォアコート
英国の急速充電スポット、グリッドサーブ・エレクトリック・フォアコート

Q4 eトロンの急速充電能力は、135kWまで。80%まで回復させるのに要した時間は約30分で、料金は20ポンド(約3400円)だった。スタッフも親切。クルマと充電器が正しく接続できているか、充電スピードが適正かを、しっかり確認してくれる。

隣接する建物には、衣料量販店のマークス&スペンサーや書店のWHスミスといった小さなショップも入っている。なんと素晴らしい施設だろう。

待っている間に、朝食を済ませることができた。WHスミスの本棚に並んでいた、雑誌のAUTOCARもきれいに整えておいた。

スタッフによれば、ノーフォークには27基の急速充電器があるそうだが、その内の22基がグリッドサーブに設置されているという。テスラ専用の急速充電器、スーパーチャージャーも複数台あるらしい。

また、競合企業の約半分の敷地面積で、同等の充電設備を提供しているとも話していた。良いことずくめだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト アウディQ4 eトロンの前後関係

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