新型ホンダ・シビック・タイプRを買ったワケ 自動車ライター伊藤梓 「派手すぎない」決め手
公開 : 2022.08.10 05:45 更新 : 2022.08.10 11:37
自動車ライター伊藤梓が新型ホンダ・シビック・タイプRを購入。派手すぎないリアウイングなど購入動機を紹介します。
「タイプRが欲しい!」
シビック・タイプR。その名前を聞くだけで、おそらくクルマ好きの多くの人は反応するのではないだろうか。
わたし自身も、その1人だ。先代のFK8に試乗した時には、目の覚めるようなパワーとクイックなハンドリングの絶妙な融合に「これがタイプRか……!」と舌を巻いた記憶がある。
しかし、そんな楽しいスポーツカー大好きなわたしなのに、そこで「タイプR、欲しい!」と思えなかったのは、デザインに大きな理由があった。
FK8のデザインはたしかにかっこいい。しかし、わたしにとっては迫力がありすぎて「自分には似合わないかもしれない」と感じてしまったのだ。
そんな風に何となくタイプRと線引きをしていた。
しかし、新型シビック・タイプRの発表でその姿を見た瞬間、これまでとは対極の感情が湧いた。
「めちゃくちゃ欲しい!」と。
その気持ちは、時間が経っても色褪せることなく、最寄りのホンダカーズから「予約できるようになりました」と連絡が来た瞬間、家を飛び出すまでに強くなっていた。
これまでタイプRのデザインに少し苦手意識があったうえに、試乗もしないで購入するなんて自分にとっては前代未聞の選択だが、ホンダカーズに到着してからはなんの迷いもなく判子をついた。
ウイングのさり気なさ
「シビック・タイプRを買った!」というと、「なんで?」と言われることがよくある。
一応自動車ライターを名乗っているのに、試乗もせずに買ってしまうなんて、驚くのも無理はないと思う。
それでもなぜ購入に踏み切れたかというと、ひとえに新型のデザインが自分にものすごく響いたからだ。
ノーマルのシビックは、現行モデルからイメージがガラッと変わり、シンプルで流麗なスタイルになった。
「1990-2000年代生まれのひと達にもかっこよく写るデザインにしたい」という思いがあったそうで、そのあたりの世代のわたしは、ガッチリそのセンスにハマってしまったらしい。
まわりのジャーナリストなど往年のクルマ好きの話を聞くと、デザインに関してはネガティブな意見が多くそれによって逆に「ターゲティングが成功しているな」と思ってしまった。
その好印象なノーマルモデルからシンプルなデザインを受け継ぎつつ、タイプRらしい力強さを宿した新型シビック・タイプR。その姿が素直に「めちゃくちゃかっこいい!」と感じた。
「自分がタイプRを買うならこれしかない」と。
エクステリアのデザイナーいわく、「ノーマルから変えた部分が悪目立ちせず、元からそこにあったかのようなデザインにしたかった」とのこと。
新型シビック・タイプRのデザインは、まさしくそのとおりになっている。
フロントフェイスの作り込みもそうだが、リアドアとリアフェンダーは、その一体感を生むために新設計されたそうだ。
先代もノーマルモデルに対してワイドフェンダー化されているが、ノーマルモデルに新たに部品をつけるような形になっていた。
先代は、それを含めて1つの世界観としてまとめ上げていて、それはそれでかっこいいデザインだったが、新型は先代とは違う方向性でデザインしたかったという。
「先代と同じような手法をとっても、それでは先代を超えられないと思った。きっとそれでは、お客さまが満足するクルマにならない」という開発者の強い意志によって、新型はパーツを後付けすることなくノーマルを活かしつつ、全体的により一体感のあるデザインを実現している。
そして、個人的にポイントが高かったのはさりげないウイング!
これまでのスポーツモデルにはゴツいウイングがつきものだったが、新型タイプRは大きめのディフューザーによってダウンフォースを生むことができるため、ウイングは小さくすることができスタイリッシュな形になっている。
さらに色はボディ同色ではなく、黒!
スポーツカーが大好きなわたしだが、自分が乗る時にはやる気をなるべく外に出さず、知ってる人だけに分かってもらえれば……という気持ちがある。
なので、このさりげなくかっこいいウイングにはグッときた。