F1エンジン搭載 メルセデスAMGワン、生産開始 最高出力1063psのハイブリッド・ハイパーカー
公開 : 2022.08.11 06:05
メルセデスAMGの新型ハイパーカー、ワン(One)の生産が英国で始まりました。F1用エンジンに4基のモーターを組み合わせたハイブリッド車で、メルセデスの歴史上最もパワフルかつ最速の市販車となっています。
もくじ
ーメルセデス史上、最強&最速
ーエアロダイナミクスに重点を置いた設計
ーF1用V6エンジンに4基の電気モーター
ーサーキット走行にフォーカスした足回り
ーレーシングカーのようなインテリア
ーこれまでのメルセデス最速の市販車
メルセデス史上、最強&最速
路上のF1マシンとも称されるメルセデスAMGの新型ハイパーカー「ワン(One)」の生産が英国で開始された。今年後半に納車開始を予定している。
新型ワンは、最高出力1063psを発揮し、メルセデスAMGの公道向けモデルとしては最もパワフルな市販車となっている。F1用のAMG製1.6L V6エンジンの改良型に4基の電気モーターを組み合わせたハイブリッド車で、2シーター、左ハンドル仕様のみが販売される。
最高速度は352km/hに制限されているが、1997年のメルセデス・ベンツCLK GTRの344km/hを上回っており、同社史上最速の市販車である。価格は275万ドル(約3億7000万円)から。275台の限定生産だが、すでに完売しているという。
英ウェスト・ミッドランズ州コベントリーで手作業により製造され、エンジンはF1パワートレインの製造会社がブリックスワースで組み立てる予定。
メルセデスによると、50人以上のスペシャリストが16の組立ステーションで組み立てを行い、テストドライバーによる試運転を経て、ドイツ・アファルターバッハにあるメルセデスAMG本社に運ばれ、オーナーに引き渡されるという。
メルセデスAMGの会長であるフィリップ・シーマーは、次のように述べている。
「メルセデスAMGワンは、開発から生産に至るまで、当社がこれまでに手がけたプロジェクトの中で最も野心的なものです。電動ドライビング・パフォーマンスの未来に向けた、メルセデスAMGの新たな高みを示しています」
エアロダイナミクスに重点を置いた設計
新型ワンの開発には、メルセデスの市販車部門と英国に拠点を置くF1チーム、そしてAMGハイパフォーマンス・パワートレインズ部門が密接に関わっている。当初は2019年の発売を予定していたが、F1用エンジンの排ガス規制や高度なエアロダイナミクス開発が難航していた。
メルセデス・ベンツのオーラ・ケレニウスCEOは最近、「(ワンの)開発を承認したとき、わたし達はきっと酔っぱらっていたのでしょう」と、冗談を飛ばしている。
車体のベースとなるのは、スチール製ロールバーを内蔵したカーボンファイバー製モノコックだ。このモノコックが、ハイブリッド・パワートレイン用の大型リアサブフレーム構造と、カーボンファイバーおよびチタン製のリアシャシーを支えている。
スタイリングは、2017年のコンセプトモデルをほぼ忠実に踏襲している。しかし、5年間の開発期間の中で、高い性能目標を達成するためにあらゆる面が刷新された。
カーボンファイバーと複合プラスチックを組み合わせたボディは、最大限のダウンフォースを発生させるために開発されたもの。また、フロントエンドの冷却ダクト、フロントフェンダー上部のルーバー、伸縮可能な2ピースのリアウィングなど、可動式エアロパーツを多数装備している。
走行中、エアロダイナミクスのレベルを3段階に調整できる。ダクトとルーバーを閉じ、リアウイングを格納した「ハイウェイ」、ダクトとルーバーを開き、リアウイングを伸ばした「レースマックス・ダウンフォース」、ダクトとルーバーを閉じ、リアウイングフラップを格納した「レースDRS(ドラッグリダクションシステム)」だ。
ノーズには大型ダクト、キャビンには弧を描くエアボックス、リアにはエンジンルームから熱気を排出する大型エクストラクターが装備され、デザイン的にも重要な役割を果たしている。
ホイールはセンターロック式で、フロント19インチ、リア20インチを採用。素材は鍛造アルミニウムが標準だが、オプションで鍛造マグネシウムも選択できる。タイヤは特注のミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2R M01を装着する。
画像 F1エンジンで「史上最速」を塗り替えた市販車【新型メルセデスAMGワンをこれまでの最速モデルと写真で比較】 全100枚