【詳細データテスト】ポルシェ911 ハンドリングが向上 標準サスなら乗り心地は満足 遮音は要改善

公開 : 2022.08.20 20:25  更新 : 2022.09.06 03:44

スーパーカー並みの速さと全天候型の安定性、+2クーペの使い勝手が共存する911ターボSに、後輪駆動的な運動性も加わった992型は歴代最高の出来栄え。ただし、日常使いできる快適性は、ノーマルでないと得られません。

はじめに

1974年以来、ポルシェ911ターボの特徴は過給フラット6ユニットだった。ところが2016年、GT3を除くすべての911がターボエンジンを搭載した。ターボは911ターボだけのものではなくなったのだ。言い換えれば、孤高の存在から、911カレラの高額な仕様的なものに見られるようになったともいえる。

覚えておいてほしいのは、そうした見方が広まる中で、ポルシェは992世代の世界最速の2点間移動マシンの、長年にわたる弱点を修正しようとしてきたことだ。それこそ、歴代言われ続けてきたややダルいハンドリングである。

テスト車:ポルシェ911ターボS
テスト車:ポルシェ911ターボS    WILL WILLIAMS

頑固なまでに安定性にこだわりすぎ、扱いやすさやアジャストしやすさは、911全般に見られるほどではない。それを、カレラのような運動性能に近づけようというわけだ。

つまりこの1世代で、911ターボは、偶然にしても故意にしても、911カレラに近いコンセプトのクルマへと変化してきた。それでも、いまだにステイタスはフラッグシップで、さらにはそれに見合った値付けがされている。

今回テストするターボSの本体価格は、じつに16万8900ポンド(約2787万円)だ。911カレラの倍近く、フェラーリ・ローマに匹敵するのである。

はたして新型911ターボは、1988年に959がやってみせたような、全天候型のメガ911とでも呼ぶべきテンプレートに当てはまるものになっているのだろうか。それとも法外な値付けの、現実離れした、とにかく過剰さを求める金持ちの道楽グルマに成り下がっているのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ウィル・ウイリアムズ

    Will Williams

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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