英国人はチューニング好き トヨタGRヤリス/フォード・フォーカス ST/マツダ・ロードスター 3台乗り比べ 前編
公開 : 2022.08.27 09:45
英国は自動車チューニングの盛んな国。英国編集部がお手頃メニューで仕立てられた3台を、乗り比べしました。
英国に数多くあるチューニング・ガレージ
トヨタやマツダ、フォードといった自動車メーカーは、驚くほど高額な予算を準備し、精鋭の技術者を囲い入れ、数年を掛けて1台の量産モデルを開発している。実施される走行テストは、述べ数100万kmに及ぶという。
それほどの労力が注がれたクルマを、街角の小さな工場に頼んで手を加えてもらうという考えに、疑問を抱く人もいらっしゃるだろう。少なくない金額を工面して。
英国には、小規模ながら多くの支持を集めるチューニング・ガレージが数多く存在する。彼らの技術を信じ、愛車を持ち込む大勢のドライバーがいる。
生産工場からラインオフしたままの状態も素晴らしい。だが自動車メーカーは、可能な限り効率的に量産し、環境負荷に対する目標を達成し、企業を存続させる利益も得る必要がある。
量産モデルを手にするユーザーは幅広い。定期点検の重要性を理解していなかったり、手荒くメカニズムを扱うドライバーに乗られることも想定されている。AUTOCARの読者には、そんな人はいないと思うが。
つまり、量産モデルには多少の「ゆとり」が残されている。そこで今回、英国編集部はリッチフィールドのトヨタGRヤリス、マウンチューンのフォード・フォーカス ST M365、BBR GTi の3代目マツダ MX-5(ロードスター)2.0という3台を集めてみた。
365psまで増強させたマウンチューン社
ベースとなっているGRヤリスとフォーカス ST、ロードスターは、異なるコンセプトで仕上げられた魅力的なクルマだ。3ドアの四輪駆動ホットハッチと、5ドアの前輪駆動ホットハッチ、2ドアで後輪駆動の2シーターオープンと、性格付けも幅広い。
そこへ、英国のチューナーが独自のモディファイを施している。基本的には、一層の速さを求めたアップデートといっていい。独自のクルマに対する哲学も落とし込まれている。量産モデルがどう料理されているのか、その成果に気持ちがはやる。
マウンチューン社のレシピは、3社の中では1番シンプル。フォード・フォーカス STというホットハッチも、シンプルなクルマではあるけれど。
同社は長い歴史を持つエンジン・ビルダーだ。様々なモータースポーツに合わせて、パワーユニットの性能アップを得意としている。フォーカス ST M365の核心といえるのも、チューニングされた2.3L 4気筒エンジンとなる。
本来280psだった最高出力は、365psまで高められている。内部構造は基本的に手つかずで、吸排気系のアップデートとエンジンECUの書き換えで実現されている。
ちょっとしたコンパクト・ハッチバック1台ぶんの馬力が上乗せしてある。ピーキーな特性を想像してしまうが、そこはマウンチューン社だから心配ご無用。フォードも、本来この程度の最高出力を想定していたように思えるほど、自然だ。