メルセデス・ベンツC 220dアバンギャルド試乗 先進技術のアドバンテージ、往年のメルセデスの心地よさ
公開 : 2022.08.20 05:45
メルセデス・ベンツC 220dアバンギャルドに試乗。先進技術のアドバンテージと往年の足まわりの心地よさを感じる1台です。
「206」はぐっと骨太に
最新の「タイプ206」メルセデス・ベンツCクラスはなかなかの力作だ。
近年のCクラスに比べるとクルマ全体がぐっと骨太になって、足まわりにもパワートレインにも上質感が漂う。
電子デバイスは運転支援系もインフォテインメントもライバルを凌駕するほどの仕上がり。
そして個人的には、往年のメルセデスを思い起こさせる鷹揚で快適な乗り心地の復活がなによりも嬉しい。
現行型は2021年6月に1.5Lガソリンエンジン搭載のC 200、それに2.0Lディーゼルエンジン搭載のC 220dがデビュー。
セダンとステーションワゴンの2タイプが当初より用意されていたほか、セダンのC 200には4マティックと呼ばれる4WD版もラインナップされた。
そして今年1月にはステーションワゴンのC 220dにマティック・オールテレインが追加。
SUV的要素を持つオールテレインはEクラスに設定されて大好評を博したが、それがCクラスにも拡大した格好だ。
ただし、その価格はCクラスのなかでは796万円とずば抜けて高い。
ちなみにそれ以外のCクラスは599万円から705万円の範囲におさまっている。
ハードウェア面でいえば、全モデルにISGと呼ばれるマイルドハイブリッド・システムを採用したことが注目点の1つ。
システムの柔軟性でライバルを圧倒するMBUXが全グレードに標準装備されるのも見逃せないポイントだ。
ここでは見どころの多い新型Cクラスを、セダンのC 220dアバンギャルドを中心にご紹介することにしよう。
ディーゼルなのに「滑らか」
わたしがC 220dでもっとも感心するのは、パワートレインの完成度が圧倒的に高いことにある。
少なくとも、Dセグメントのディーゼルモデルのなかではベストの仕上がりといっていいだろう。
まず、この4気筒ディーゼルエンジンはなんといっても静かで滑らか。
アイドリング時やごく低回転域でも、ディーゼル特有のキンキンとしたノイズ、それにゴロゴロとした振動を生み出さない。
騒音やバイブレーションのレベルは、お世辞抜きでガソリンに近いレベルにある。
スロットルペダルを踏み込んだ瞬間にすっとパワーが立ち上がるレスポンスの良さも好ましいけれど、本当に刮目させられるのは回転が上昇する速さ。
近年のディーゼルは、同じくスロットルペダルを踏み込んだときにグイッと背中を押されるような反応のよさはあるけれど、エンジン回転数の上がり方がガソリンエンジンに比べると遅いため、実際にスピードが乗り始めるまでには時間がかかるケースが少なくない。
ところがC 220dはスロットルペダルの踏み加減にあわせてスムーズに車速が伸びていく。
このレスポンスのよさは、高い燃焼圧を受けるディーゼル用のピストンがガソリン用よりも圧倒的に重いことを知っている者にとっては、驚異的な事実といって間違いない。
もう1つ、C 220dに搭載されたOM654Mと呼ばれるディーゼルエンジンの魅力は、エンジン始動が極めてスムーズなことにある。
これは、一般的なセルモーターではなく、パワフルなマイルドハイブリッド用モーターでエンジンを始動される恩恵。
このモーターはセルモーターよりも高速で回転するため、始動時の「身震い」をほとんど起こさず、まるで何ごともなかったかのようにエンジンに火を入れることができる。
そのスムーズさは、とりわけアイドルストップ後にエンジン始動した際に実感することだろう。