パガーニ・ウアイラ BCロードスターへ試乗 802psのAMG V12 実は従順なスーパーカー 前編
公開 : 2022.08.23 08:25
V12エンジンを積んだ第3世代モデルの開発を進めるパガーニ。第2世代のウアイラで、特別な体験を再確認しました。
思わず言葉を失うインパクト
いつもの街でパガーニ・ウアイラへ直面すると、1対1の挑み合いのように感じられてくる。怪獣vs人間の直接対決へ、大勢の市民が興味深げに顔を向ける。
インターネットが普及し、好きな場所で好きな音楽を聞けるようになり、スーパーカーの動画も自由にチェックできるようになった。それでもやはり、実際に生で見て聞いて、触れることには及ばない。デジタルでは、その体験を再現できない。
フォトグラファーのマックス・エドレストンと一緒に、グレートブリテン島の南部に位置するグッドウッド・サーキットで、ウアイラ BCロードスターをお借りした。改めて、その事実を認識させられた。
パガーニ・ウアイラを直に、至近距離で目にしたのは久しぶり。思わず言葉を失うインパクトがある。美しく妖艶だ。確かにスーパーカーは、以前より身近な存在になった。それでも、実際に手に入れられる人はひと握りでしかない。
かつてランボルギーニに勤めていたオラチオ・パガーニ氏は、イタリア・モデナ郊外に控えめな工場を設け、この極めて特別なスーパーカーを生み出している。古巣から、クルマで僅か15分ほどの距離の小さな町で。
見惚れてしまうフォルムとディティール
どこから観察していいのか、目のやり場に困る。サイドビューを眺めながら、6.0L V型12気筒ツインターボ・エンジンから伸びる、チタン製の4本のエグゾーストへ自然と足が向かう。
その隣には、ブレーキング時や停止時に熱を排出する、エアロフラップが付いている。3灯が並ぶテールライトの周囲は、色っぽいカーボンファイバーでカウリングされ、その上部をスポイラーが覆う。
コクピットの後方に、勢いよく空気を吸うシュノーケルがそびえ立つ。滑らかなフォルムのサイドミラーが、繊細にカーブを描くステーで支えられている。地面の方へ視線を落とせば、ディフューザーのたぐいが所狭しと並んでいる。
見惚れてしまって、なかなか次へ進めない。フロントタイヤを覆うカーボン製のフェンダーには、何本ものルーバーが切られている。巨大で、いかにも空気をよく吐き出しそうだが、公道用モデルとして認可は取りにくいはず。
ホイールベースは、2795mmとランボルギーニ・アヴェンタドールより長い。停まっていても美しく速い。手動調整式のリアウイングも、躍動的な雰囲気を引き立てている。
パガーニは、まもなく新しいスーパーカーを発表するという。そこで、第2世代に当たるウアイラ BCロードスターの特別さを確かめることにした。C10というコードネームを与えられた第3世代のスーパーカーは、既に完売状態らしい。