特別の中の特別 ベントレー、新型マリナー・バトゥール発表 18台限定のW12モデル

公開 : 2022.08.23 06:05  更新 : 2022.09.03 14:55

ベントレーは、18台限定の新型クーペ、バトゥールを発表しました。コンチネンタルGTをベースに、最高出力740psを発生する史上最強の6.0L W12を搭載。次期EVを予見する新しいデザイン言語にも注目です。

ベントレー史上最強のW12エンジン搭載

ベントレーは、将来のEVモデルの姿を予見させる、超少量生産の新型クーペ「バトゥール(Batur)」を発表した。

この限定車の発売は、20年にわたりベントレーのモデルに搭載されてきた6.0L W12エンジンの終幕を告げるものでもある。

モントレー・カー・ウィークで披露されたベントレー・マリナー・バトゥール
モントレー・カー・ウィークで披露されたベントレー・マリナー・バトゥール    AUTOCAR

モントレー・カー・ウィークにおいて、500人のベントレーオーナーの前で公開されたバトゥール。2023年半ばに納車が開始される予定だ。

ロングホイールベースのコンチネンタルGTをベースにした2ドア・クーペで、まだ開発中だが少なくとも最高出力740ps、最大トルク102kg-mを発揮するとされるW12を搭載している。これにより、ベントレーの公道モデルとしてはこれまでで最も強力なモデルとなる。

その力強いエンジンに合わせて、3チャンバー式エアサスペンション、48V電動アンチロールコントロール、電子リミテッドスリップデフ(トルクベクタリング付き)、後輪操舵システムなど、ベントレー最新のシステムを採用した。

ベントレーのコーチビルド部門であるマリナーによって、英クルーで手作業で製造される予定。昨年12台の限定生産モデルとして登場したバカラルの後継となる。

2億円超の限定車 すでに完売

インドネシアのバリ島にある火山湖にちなんで名付けられたバトゥールは、18台が生産される予定で、オプションと税抜きで165万ポンド(約2億6600万円)となっているが、すでに完売している。購入者の中には、バカラルを納車したばかり、あるいは現在も納車を待っている人もいるという。バカラルは現在、12台のうち8台が製造・納車されている。

新型バトゥールは、昨年初めに入社したデザインディレクター、アンドレアス・ミントが率いる新しいデザインチームによる最初の作品である。ミントは、バトゥールのデザインについて、2025年に登場予定のベントレー初のEVを示唆するものだとしている。

モントレー・カー・ウィークで披露されたベントレー・マリナー・バトゥール
モントレー・カー・ウィークで披露されたベントレー・マリナー・バトゥール    AUTOCAR

ミントは、ジュニアデザイナーとしてフォルクスワーゲン・グループに入社して間もない2003年、ベントレーのコンセプトカー「ユーノディエール」を担当した経験がある。バトゥールを担当するにあたり、ベントレーというブランドのデザインを改めて見直し、なぜこの会社が存在し、何が得意なのかといった根本的な部分に立ち戻って研究を行ったという。

この地道なリサーチにより、「力強い」「インスピレーション」「調和」という3つのワードを特定。バトゥールのシンプルで飾り気のない、彫刻的なフォルムを作り出した。

彼はこう言っている。

「装飾は必要ありません。わたし達は、高級車に対するお客様の優先順位が変化していると考えています。彼らは、クルマに派手さではなく、静かな感動を求めるのです。2次元のグラフィックから、光と影を多用した表面のデザインへと移行しているのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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