日産「スカイラインGT-R」の落札額は? 北米オークションに、R32/R33が登場

公開 : 2022.08.23 05:45

北米モントレー・オークションの結果速報です。スカイラインGT-Rが、3台出品。相場を決めると言われる競売で、R32とR33にどんな入札があったのでしょう?

全日本GT選手権の参戦マシンも

毎年8月にアメリカのモントレーで開かれるメジャーなコレクターズカー・オークションは、マニア垂涎といえる貴重なモデルが数多く出品されることで知られている。

またモントレーでのメジャー・オークションの結果は、現在の相場を示すものとして世界中のバイヤーやコレクターから注目を集めてきた。

RMサザビース・モントレー・オークションに出品された、1989年 日産スカイラインGT-R(R32)
RMサザビース・モントレー・オークションに出品された、1989年 日産スカイラインGT-R(R32)    RMサザビーズ

現在のアメリカでは当時正規輸入されなかった日本メーカーの高性能モデルが、生産から25年を経過して登録できるようになったことから、数多くの車両が上陸し人気を集めている。

その流れを示すように、今年のRMサザビース・モントレー・オークションには、日本から海を渡った3台のスカイラインGT-Rが出品された。

中でも注目したいのが、ハセミ・モータースポーツが1994年の全日本GT選手権を闘った「ユニシア・ジェックス・スカイラインGT-R」だ。

1994年に同チームの代表である長谷見昌弘がドライブし、第2戦仙台ハイランドで優勝を果たし、年間ランキングで2位を勝ち取ったマシンそのものである。

低走行の「R32」「R33」が出品

このマシンは、スーパー耐久シリーズの1戦であった1994年の十勝24時間レースにも挑み、2位に10ラップもの大差をつけて圧勝したことも忘れられないヒストリーだ。

今回はRMサザビース・モントレー・オークションに出品され、事前の予想落札額は50~55万ドルと発表されていたが、終えてみれば28万ドル(3836万円)と低調だった。

1994年 ユニシア・ジェックス・スカイラインGT-R
1994年 ユニシア・ジェックス・スカイラインGT-R    RMサザビーズ

日本国内のマシンでアメリカでの知名度が低く、サーキット専用になることを考えると、GT-Rファナティックといえど手にできる者は限られるだけに伸び悩んだと思われる。

走行3万kmのR32

アメリカでのGT-Rブームの火付け役となった「R32 GT-R」と「R33 GT-R」のロードカーもモントレー・オークションに姿を見せた。

「R32 GT-R」は2018年に香港に渡った個体で、走行は約3万km。BBSホイールが組まれている以外はオリジナルを良く保った初期型。予想落札額は8~10万ドルと発表された。

オークション開催中には落札されなかったが、終了後のセールで成約したため取引額は不明だが、恐らく10万ドル(約1370万円)程度と思われる。

アメリカでGT-Rは不人気?

一方の「R33 GT-R」は、アメリカではR32に比べて流通数が少ないこともあり予想落札額は15~18万ドル(2055~2466万円)とアナウンスされていた。

こちらは1590kmという日本から渡った低走行車。外装色はミッドナイト・パープルのファクトリー・オリジナル・コンディションを保った完璧といえる個体である。

1995年 日産スカイラインGT-R(R33)の前席内装
1995年 日産スカイラインGT-R(R33)の前席内装    RMサザビーズ

終えてみれば予想落札額の下限をわずかに超えた15.12万ドル(約2072万円)で決着。

昨年のモントレーで「R33 GT-R」が23.52万ドルで落札されているが、今年はいまひとつ盛り上がらなかった。

2022年のモントレー・オークションの結果を見ると、フェラーリランボルギーニポルシェといった王道のコレクターズカーが大きく値を上げる結果で終わった。

モントレーはコレクターズカーにとって頂点のオークションで、選りすぐりのモデルたちが世界中から集まる場である。それだけにGT-Rにとってはやや畑違いの場といえる。

過去のモントレー・オークションを見てもGT-Rの出品はわずかで、昨年「R33 GT-R」が、その前は2015年にケンメリGT-R、2014年にハコスカGT-Rが姿を現しただけ。

しかし、GT-Rを始めとする日本のスポーツモデルたちには別の世界とマーケットが存在し、モントレーでの落札額だけでは本当の人気は判断できないのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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