327psは同社最強 マツダCX-60へ英国試乗 2.5L直4+モーター ブランド初のPHEV 前編

公開 : 2022.09.05 08:25

マツダ初のPHEVとなるCX-60。シャシーやインテリアは優れるものの、パワートレインの仕上がりを英国編集部は指摘します。

マツダ初のPHEVで総合327psを発揮

数年前まで、英語圏の子供がエンジン音を真似たオノマトペ、Zoom-Zoom(ズーム、ズーム)をキャッチコピーにしていたマツダ。競合メーカーが電動化技術へ舵を切るなかで、内燃エンジンにコダワリを持ってきた。

2022年になっての、ブランド初となるプラグイン・ハイブリッド(PHEV)の投入は、やや遅れた感じもなくはない。それでも、マツダにとっては革新だといっていい。2020年に発表されたMX-30には、バッテリーEV(BEV)版も設定されていたけれど。

マツダCX-60 PHEV AWD タクミ(英国仕様)
マツダCX-60 PHEV AWD タクミ(英国仕様)

CX-60 PHEVは大きなクロスオーバーだが、同社がこれまで生産した量産モデルとして、過去最強となる。スカイアクティブGと呼ばれる、2.5L 4気筒ガソリンエンジンがボンネット内へ縦向きに搭載され、そこに駆動用モーターが組み合わされる。

前者が190ps、後者が175psをそれぞれ発揮。280psの自主規制時代には難しかった、システム総合327psが主張される。

このハイブリッド・システムで特徴といえるのが、エンジンが大きめの排気量を持つ自然吸気なこと。常用回転域での燃費効率を高めようという狙いがある。もう1つマツダ独自といえるのが、新開発の8速デュアルクラッチATを採用した点だ。

駆動用バッテリーは17.8kWh 62km走行可能

駆動方式は、PHEV版では四輪駆動が標準。並行して売られる6気筒ディーゼルとガソリン版には、後輪駆動も設定される。

駆動用モーターのエネルギー源となるのが、電圧388Vに設定された17.8kWhの駆動用バッテリー。WLTP値では、EVモードで最長62kmの航続距離をもたらす。ちなみにトヨタRAV4 PHEVは74km、ボルボXC60 T6 PHEVは77km走れる。

マツダCX-60 PHEV AWD タクミ(英国仕様)
マツダCX-60 PHEV AWD タクミ(英国仕様)

駆動用バッテリーは、最大7kWで充電可能。最短2時間20分で満たすことができるという。走行中は、内燃エンジンの余力で充電することもできる。

英国のマツダは、新しいCX-60の販売台数の大部分をPHEV版が占めると予想する。英国では一般的な、会社からの貸与車両として乗られる場合、ディーゼルやガソリン版より税制的なメリットが大きいためだ。

英国価格は、充実装備のベースグレード、エクスクルーシブ・ラインで4万3895ポンド(724万円)から。ミドルグレードのホムラが4万6300ポンド(763万円)、トップグレードのタクミが4万8050ポンド(792万円)からとなる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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