価格度外視で欲しくなる フォルクスワーゲンID.バズへ試乗 航続410kmのEVミニバン 前編
公開 : 2022.09.12 08:25 更新 : 2022.09.12 11:35
多くの人に愛されるVWタイプIIが、ポップなBEVになって復活。最新のミニバンを公道で英国編集部が評価しました。
コンセプトカーがそのまま公道に
これまで20年近くに渡り、4台のコンセプトカーを通じてワンボックスのタイプII、ワーゲンバスの復活を匂わせてきたフォルクスワーゲン。遂に、量産車としてわれわれのもとにやって来た。ID.Buzz(バズ)という名前のバッテリーEV(BEV)で。
この復活を支えているのが、クロスオーバーのフォルクスワーゲンID.4なども採用する、柔軟なMEBプラットフォーム。大きな駆動用バッテリーをフロア部分に敷き詰めたスケートボード構造が叶える、優れた能力とデザインの自由度を最大限に活かしている。
欧州では販売が始まっているID.4やハッチバックのID.3といったBEVは、従来の内燃エンジン・モデルからのスムーズな移行を促すサイズやスタイリングで仕立てられている。その役割は、不足なく果たされていると思う。
一方で、このID.バズは明らかに異なる。モーターショーを彩るコンセプトカーが、そのまま公道を走っているように見える。クルマ好きでなくても思わず振り返って、笑顔になるのではないだろうか。
今回の試乗はデンマーク・コペンハーゲンで実施されたが、間違いなく沢山の通行人の足を止めていた。ブガッティのハイパーカー以上に存在感がある、楽しく新しいフォルクスワーゲンだ。価格はお高めだけれど。
追って3列シートやキャンピングカー版も
英国での販売は、2022年末から始まる予定。2列5シーターのミニバン、ID.バズと、リア部分が荷室になったID.バズカーゴと呼ばれる商用バンの、2種類が用意されるという。今のところ選べるのは、このベーシックな仕様に限られる。
2023年以降、順次ID.バズのバリエーションは増やされる計画にある。北米市場を念頭に入れた3列7シーターのロングホイールベース版や、四輪駆動版も控えているという。
フォルクスワーゲンのバスなら、多彩な車内レイアウトで自動車旅行やキャンプを楽しみたいと考える人も多いはず。そんな要望へ応えるように、走る別荘と呼びたくなるキャンピングカー仕様も登場するらしい。筆者もこれを楽しみにしている。
今回試乗したのは、先に導入される5シーターのID.バズ。前列にはアームレスト付きのゆったりしたシートが2脚、後列には60:40で折りたためる3名掛けのベンチシートが据えられる。リアドアはスライド式で大きく開き、乗り降りしやすい。
リアシートはレールを滑らせて前方に寄せることも可能だが、MQBプラットフォームをベースとする最新のフォルクスワーゲン・マルチバンのように、シート自体を取り外すことはできない。折角だから、こちらでも実現してほしかった。