車重わずか750kg ポルシェ912の最新レストモッド公開 2.0L 4気筒で170馬力

公開 : 2022.09.09 18:25

ハンガリーの新興企業が羽のように軽いポルシェ912のレストモッドを発表しました。4気筒エンジンを2.0Lに排気量アップし、出力は170psに向上。レーシーであると同時に快適性も忘れない仕様となっています。

フェザー級の912レストモッド

ハンガリーの新興企業Kamm Manufakturは、長い間ファンに支持されてきた4気筒のポルシェ912のレストモッド「912c」を発表した。

ウィンドウ・ガラスはすべてポリカーボネートのレキサン製に交換され、スチール製ボディの一部はカーボンファイバー製となっている。車重はわずか750kgを実現したという。

Kamm 912c
Kamm 912c    Kamm Manufaktur

1.6Lの616型エンジンは、スイスのスペシャリストJPS Aircooled社によってオーバーホールされ、2.0Lに排気量アップ。圧縮比も高められ、ウェーバーキャブレターが追加された。この改良により、「ファーストロード」仕様では90psから170psにパワーアップしている。

後輪駆動で、5速のドッグレッグギアボックスとZF製リミテッドスリップディファレンシャル、そしてヨコハマAD08RSタイヤを装着する。

サスペンションにも手が入れられ、アジャスタブルダンパーとアンチロールバーを備えた独自のコイルオーバーをフロントとリアにセットアップしている。

ブレーキはフロントに964型911のもの、リアにブレンボ製ベンチレーテッドディスクを採用。油圧式ハンドブレーキも装備される。

インテリアには、特注のカーボンファイバー製シートとインテリアトリム、軽量マット、レース用クラッチで知られるティルトン社製のペダルボックスが装備されている。リアシートはそのままに、エアコンを標準装備しているので快適性を犠牲にすることはない。また、要望に応じてサウンドシステムの追加も可能。

比較的お手頃なクラシックポルシェ?

Kamm 912cの価格は現在、ドナーカーの費用を含め32万5000ユーロ(約4670万円)から。もし912を所有していれば、その分割安になる。

1965年から1969年に生産された、欧州における912の現在の中古車価格は、錆びた個体で1万ポンド(約160万円)から、大切にされている個体やレストアされた個体で6万ポンド(約1000万円)と幅がある。

Kamm 912c
Kamm 912c    Kamm Manufaktur

決して安くはないが、912ベースのKamm 912cは比較的お手頃と言えるだろう。近年、クラシックなポルシェ911のレストモッドに対する人気が高まっており、例えばガンザーワークス社の911ベースの最新モデルで70万ポンド(約1億1500万円)と予想され、シンガー社は100万ポンド(約1億6000万円)を超えている。

Kammの創業者であるミクローシュ・カズメール(Miklos Kazmer)は、次のように述べている。

「Kamm 912cは何年もかけて作られたものであり、わたしの考える完璧な912を世界に紹介できることを誇りに思っています」

「ブダペストでは、個性を求める気持ちから生まれた自動車文化が驚くほど発達しています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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