“シトロエン通”は知ってほしい、「C5 X」のデザイン/内装/乗り心地 ガソリン仕様を試乗!

公開 : 2022.09.11 20:45

「シトロエンC5 X」のレポートです。PHCを組んだサスペンション・システムの乗り味は、フラッグシップ復活に相応しいものなのでしょうか? ガソリン仕様を試乗します。

シトロエンの「X」

C5が2015年に日本での販売を終了して以来、空白となっていたシトロエンのフラッグシップセダンのポジションを埋めるべく、C5 Xが上陸した。

車名の最後のXは、セダンとワゴン、SUVのクロスオーバーであることを示すとともに、かつてのフラッグシップであったCXやXMに用いられたXの系譜を継承するという意味が込められているという。

シトロエンC5 Xシャインパック(外装色:ブラン ナクレ、ルーフ:ノアール ペルラネラ)
シトロエンC5 Xシャインパック(外装色:ブラン ナクレ、ルーフ:ノアール ペルラネラ)    前田惠介

Dセグメントのシトロエンとしては、すでにC5エアクロスSUVがある。C5 Xのプラットフォームはそれと同じEMP2であり、DSやCXが搭載したハイドロニューマチック(ハイドロ)の現代版と言える、プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)を採用するところも共通する。

ただしボディサイズは、全長が4500mmとCセグメントに近かったエアクロスとは対照的に、4805×1865×1490mmとDセグメントにふさわしい数字を持つ。

似たような雰囲気を持つクラウンクロスオーバーと比べると、やや短く低い代わりに幅は広い。つまり同格と見ていいだろう。

ただクラウン・クロスオーバーが、スタイリングでは従来のクラウンとほとんどつながりを持たないのとは対照的に、C5 Xはひと目見た瞬間にシトロエンだと感じる。僕がこれまで6台のシトロエンを所有してきたためもあろうが、時代とともに見た目を変えつつ、内に秘めた哲学は不変であることを教えられる。

知るほど楽しいデザインの注目点

具体的にスタイリングを見ていくと、まずプロポーションはCXよりXMに似ている。

サイドウインドウ下端のラインがリアドアが終わるあたりでキックアップしたり、リアエンドにスポイラーを備えたりしているところが、そう感じる。ハッチバックであるところもXMと共通だ。

リアセクションはデザインの見どころの1つ。全高は1490mmに抑えつつ、最低地上高は実測値で165mmを確保。
リアセクションはデザインの見どころの1つ。全高は1490mmに抑えつつ、最低地上高は実測値で165mmを確保。    前田惠介

一方フロントマスクは、今年初めに上陸したC4に似ており、ヘッドランプ同様、外側がV字型に開いたリアコンビランプも、C4に通じるものがある。最新のシトロエン・ファミリーであることは一目瞭然だ。

試乗車は上級グレードのシャインパックで、ボディカラーはすべてルーフがブラックの2トーンとなる。

4色ある中で、個人的にはイメージカラーのグリーンがかったグレーより、取材したホワイトのほうが映えると思った。この点もXMと同じだ。

シートと内装 どんな感じ?

シトロエン本社でCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)を担当する日本人デザイナー、柳沢知恵さんが関わったインテリアは、基本は黒基調ながら、艶と色味を抑えた木目調パネル、シートやドアトリムに走るダブルシェブロンをアレンジしたステッチなど、フレンチらしい遊び心が嬉しい。

大きめのセンターディスプレイとヘッドアップディスプレイ、対照的にコンパクトなメーターパネルは、いずれも表示が整理されていてわかりやすい。

シトロエンC5 Xシャインパックの前席内装。車内のデザインは、「フレンチらしい遊び心」をそこかしこに見つけられる。
シトロエンC5 Xシャインパックの前席内装。車内のデザインは、「フレンチらしい遊び心」をそこかしこに見つけられる。    前田惠介

スライド式スイッチのATセレクター、ダイヤルを残したエアコンを含めて、スマートな空間を目指したという思想が伝わってくる。

前席は腰を下ろした瞬間は固めかと思いきや、その後はシトロエンらしく体を優しく包み込んでくれる。

しかもシャインパックではヒーターやベンチレーターに加えて多彩なマッサージ機能まで用意されていて、CXやXMの時代には実現できなかった今風のリラグゼーションを届けてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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