フェラーリ・プロサングエ 「4ドア・4座」に施されたフェラーリマジック 後席や荷室、デザインを解説
公開 : 2022.09.14 05:45 更新 : 2022.09.14 08:41
フェラーリ初の4ドアモデル「プロサングエ」に施されたフェラーリマジックや後席や荷室から感じるホスピタリティを解説。
プロサングエに施された「マジック」
プロサングエを覆っていたベールが取り除かれた瞬間、わたしは「ああ、よかった」と胸をなで下ろした。
それくらい、プロサングエのデザインは美しく、スタイリッシュだ。
なるほど、GTC4ルッソに比べれば全高は高い。けれども、ボディ全体に凝縮感がみなぎっていて、間延びした印象を与えない。ましてや、腰高感は皆無といっていい。
そして何よりもプロポーションがよく、フェラーリらしい魅力に溢れている。
SUVかどうかという議論は脇に置いて、素直に「格好いい」といいたくなるデザインである。
「プロサングエのデザインに際しては、リアルフェラーリであり、スポーツカーらしさを表現することに注力しました」 チーフデザイン・オフィサーのフラヴィオ・マンゾーニはそう切り出した。
「特別なアーキテクチャーを用いることで、力強いデザインのボディに仕上がりました。オーセンティック(「真正の」「本物の」を意味する)でオリジナリティ性の高い美しさが表現できたと自負しています」
ここで大きな役割を果たしているのが、4973mmの全長に対して3018mmと極端に長いホイールベースにある。
これは、エンジンやギアボックスなどの重量物をホイールベース内に収めるための措置でもあったが、結果的に1589mmの全高が実際よりも低く見える効果を生み出している。
「弓なり」なサイドステップをとりつけて、フロントドア付近を「くびれ」ているように見せる手法も軽快感を強調している。
フェラーリのチェントロスティーレがプロサングエに施した数々のマジックを、順に紹介していくことにしよう。
エアロダイナミクスと連携したデザイン
真横から見ると、プロサングエは強いウェッジシェイプとされていることに気づく。
これはクラムシェル形状をしたボンネットの切り欠きがボディ前端から徐々に上昇し、これを受ける格好でリアエンドまで一直線に伸びるキャラクターラインによってもたらされる効果だ。
これと、前述したサイドステップの形状が連動して強い躍動感を生み出している。
いっぽうで、傾斜の強いAピラーから流れるように続くルーフラインはリアエンドに向けて無理なく下降し、キャビンをコンパクトに見せる効果をもたらしている。
もう1つ、ボディサイドで興味深いデザインとして、フロントフェンダー上に設けられたエアアウトレットが挙げられる。
296GTB/GTS、さらにいえば250LMのリアフェンダーに置かれたエアインテークを前後逆さまにレイアウトしたようにも見えるこのエアアウトレットは、エンジンルーム内の熱気を抜くだけでなく、ボンネット上のエアインテークから吸い込んだ気流を排出する役割も果たし、リフトの低減に役立つという。
フェラーリのデザインはいつもそうだが、デザイン性とエアロダイナミクスが常に連携しているのが特徴なのである。
いっぽうでフロントのヘッドライトまわりは296GTB/GTS、リアのコンビネーションライトまわりはローマに似ていなくもないが、マンゾーニは「フェラーリ・ファミリーであることを強調したつもりはありません。あくまでも各モデルのデザインを最適化した結果です」と説明する。
ちなみに、ヘッドライトのよう見えるデザインの一部はエアイントレットで、冷却やエアロダイナミクスに用いられている。