スーパーGT/スーパー耐久に参戦のスバル レースで「アイサイト」を実装するワケ BRZが走る実験室に
公開 : 2022.09.17 05:45 更新 : 2022.11.01 08:44
スーパー耐久に参戦するスバルがレース車両にアイサイトを実装。その背景を桃田健史が考察します。
ワークスチームも参戦 スーパー耐久
まさか、「アイサイト」をモータースポーツの場で使う時代がやってくるとは?
スバルからこの話を聞いて、とても驚いた。
いったい、どういうことなのだろうか?
順を追って話を進めていこう。
まず、どのようなモータースポーツかといえば、それはスバルは今年(2022年)フル参戦している、スーパー耐久シリーズである。
スーパー耐久シリーズは、量産車をベースとした国内外のレーシングマシンがクラス別で走る国内選手権。
もともとは、アマチュアレーサーが集う場だったが、そうしたアマチュアがメキメキと腕を上げて、いまではジェントルマンドライバーと呼ばれるようなプロ顔負けの走りを見せるようになっている。
なかにはスーパーGTなどの国内トップカテゴリーで走る現役ドライバーが助っ人として参戦しているチームがあり、また現役に引退した往年の名ドライバーも楽しく走っている様子もうかがえる。
そんなスーパー耐久シリーズで2021年から異変が起きている。
大手自動車メーカー各社が、いわゆるワークスチーム体制の本気モードで参戦してきたのだ。
きっかけは、トヨタだった。トヨタ・ガズー・レーシングの取り組みの中で、ルーキーレーシング「ORCルーキー・カローラH2コンセプト」を導入した。
トヨタもカローラで参戦 「走る実験室」
水素燃料を使うカローラが登場したのは、2021シーズンの富士24時間耐久レースだった。
トヨタの資料によれば、24時間のうちコース上で走行していたのは12時間弱で、約8時間が修理や安全確認、そして約4時間が水素の充填にあてていたという。
それでも、水素を燃料として使うレーシングマシンとして、世界で初めて公式の耐久レースで完走したことが国内外で大きなニュースとなった。
トヨタとしては、カーボンニュートラルを目指す中で、エネルギーを「つくる」、「はこぶ」、「使う」という自動車を中核としたすべての産業で取り組むことが重要だと強調している。
カーボンニュートラル達成に向けては、地球温暖化の主な原因といわれている温室効果ガスの二酸化炭素の排出量について、各種の工場や輸送機器など様々な分野からの排出を抑えることが必要だ。
そのうえで、森林の伐採を少なくするなどして、自然界で吸収される二酸化炭素の増やすことで、二酸化炭素の排出量を相殺するという考え方だ。
スーパー耐久での水素を使うレーシングカーも、量産エンジンで水素を燃料として使うための「走る実験室」という位置づけだ。
そうしたトヨタの試みに対してスバルも賛同し、スーパー耐久シリーズに参戦することになった。