キャンピングカー界に旋風? フィアット・デュカト、日本導入の戦略は? ポイントはサービス体制

公開 : 2022.09.18 20:25  更新 : 2022.09.19 10:00

キャンピングカーとして注目を集める「フィアット・デュカト」。日本で成功するカギは、サービス体制だと関係者は語ります。導入の戦略を伺ってきました。

ハイエースのバンコンに勝る点

キャンピングカーの中でも日本で人気を得ているのは、「バンコン」というカテゴリー。

ベース車両となるのはワンボックスの商用車やミニバンで、トヨタ・ハイエースが一番多い。一見すると外観はハイエースで、車内にベッド/キッチンなどを架装している。

せっかくのキャンピングカーでも、「見た目がパッとしないのはちょっと」という声は多い。デュカトの強みの1つにデザインを挙げるヒトもいる。
せっかくのキャンピングカーでも、「見た目がパッとしないのはちょっと」という声は多い。デュカトの強みの1つにデザインを挙げるヒトもいる。    ステランティス ジャパン

バンを改装・改造、つまりコンバージョンしているからバンコンだ。

バンコンのベース車両は“ハイエースの一強”が続いていたが、ここに来てステランティス日本法人が、フィアットの商用車である「デュカト」を日本導入。

ハイエースをベースにすると、車室の高さをハイエースの室内高に依存することになる。デュカトなら、車内で大人が腰を曲げずに立つことができるので、新たなベース車として注目されている。

そして今週、正規輸入されるデュカトの販売代理店5社が決定し、契約の調印式の場で、日本導入の戦略を聞くことができた。

5社のうちの1社、茨城県のアールブイランド 阿部和英 代表取締役社長は、正規輸入によるサービス体制の変化がキーになると期待する。

「弊社では約15年ほど前から、ドイツでキャンピングカーに架装されたフィアット・デュカトを並行輸入して販売してきました。オーナー様は、デザイン、乗り心地、走行安定性の満足度が非常に高いです」

「これまでは、なにかトラブルがあってから部品を輸入していたので、お客様を2週間、3週間お待たせしてしまう現状があり、なかなか国内で普及しなかった。この度、正規ディーラー車となり、3年10万kmの保証もつきます。クルマに関しては間違いないモノなので、やるしかないという意気込みであります」

輸入元となるステランティスも、販売台数より、サービスがポイントと考えている。

デュカト「成功」へのカギは?

調印式で報道陣の質疑に応じたステランティス ジャパンのポンタス・ヘグストロム社長の見解はこうだ。

「優先順位は、ディーラーネットワークの企業数を増やすことではございません。むしろ、5社の正規販売代理店の皆様が、適切に必要な台数を確保できるようにすることが重要です。そして、供給を受けて事業を成功させること、利益を健全に生み出せることが最優先なのです」

日本仕様のデュカトは、左側通行に都合がいい左エントランスのパッケージ。横幅があるので、横向きに寝るレイアウトも可能。
日本仕様のデュカトは、左側通行に都合がいい左エントランスのパッケージ。横幅があるので、横向きに寝るレイアウトも可能。    ステランティス ジャパン

「今後に向けては、台数よりも、サービスの拡充のほうが大事だと考えております」

「実際にデュカトのRV(レクリエーショナル・ビークル)が一般道を走り始めると、サービスのニーズが高まりますので、それらに対応できる手段の拡充を考えております。さらに今後は、運送、ピープルムーバー、バスのような用途にも拡大していきます」

「台数についての言及は難しいところですが、欧州ではRVの市場占有率で70%のシェアを持っています。日本でも同じように成功できると考えており、来年はこのネットワークで少なくとも10%は手堅いと考えております。その10%というのは、バンベースに限りますと、20%のマーケットシェアに相当します」

5社へ配車されるデュカトのデリバリー状況も明らかにされた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事