スバル・クロストレック話題 北米の稼ぎ頭 世界発表の舞台を日本にしたワケ

公開 : 2022.09.20 05:45

スバルの新型クロスオーバーSUV「クロストレック」が話題です。北米の稼ぎ頭を日本で発表した背景を解説します。

なぜインプレッサより先?

スバル「XV」あらため、「クロストレック」が2022年9月15日に世界初公開された。

スバルをよく知るユーザーからは「あれ? どうしてインプレッサより先に出たんだ?」という声が挙がるかもしれない。

スバル・クロストレックはXVの後継モデルとなる。
スバル・クロストレックはXVの後継モデルとなる。    スバル

そうした疑問こそ、クロストレックというモデルの存在意義を証明しているといえるだろう。

さらにいえば、クロストレックは日本市場を含めたグローバルでのスバルブランドのあり方に大きな影響を与えるともいえるのではないだろうか。

その背景について、スバル関係者の声を交えながら深堀りしてみよう。

そもそも、「インプレッサXV」の名称で2010年に初代がデビューしたように、XVはインプレッサの派生型クロスオーバーであった。

2代目になると、インプレッサという「形容」がなくなりXVとなる。

デザイン面ではインプレッサと雰囲気を変えて、独立したモデルとなったのだ。

つづく3代目でも、インプレッサが優先してのXVという立ち位置だった。

ただし、この時期はスバルという企業にとって大きな転換期であり、そこでのインプレッサの重要性が極めて高かった。

それまで10数年間にわたり改良を施してきた車体を刷新し、SGP(スバルグローバルプラットフォーム)を導入したのだ……。

スバルにとってのインプレッサ

当時のインプレッサの開発責任者(PGM:プロジェクトゼネラルマネージャー)で、現在は常務執行役員・商品企画本部長の阿部一博氏は「会社を説得して、大きな決断を下した」とインプレッサ登場の背景について話している。

大きな決断とは、SGPの導入時期を指す。

スバル・クロストレック
スバル・クロストレック    スバル

一般的に、新しい車体の導入コストは数百億円におよぶといわれている。

そのうえで、スバルのグローバルでのモデルラインナップにおける重要度から考えると、「レガシィ」や「アウトバック」がSGP導入の第1弾になるべき、という意見がスバル社内に根強くあったようだ。

そこまでして、市場導入したインプレッサは、乗り味や走り味が刷新されたパフォーマンスが好評となり、見事に日本カーオブザイヤーを獲得するなど、市場での評価が高いクルマとなった。

その流れを汲んで登場したXVは、オフロード走破性の面からSGPを改良し、走行制御・X-MODEとの相性も良い仕上がりとなった。

SGPはその後、「フォレスター」、「レガシィ」、「レヴォーグ」、「アウトバック」、さらに日本未導入の「アセント」へと採用されていく。

そして、2022年はSGP導入の2巡目に入っていく時期なのだが、その第1弾がインプレッサではなく、またXVでもない、クロストレックスとなったのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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