アナログな513psのスーパーカー ノーブルM500へ試乗 スペースフレームに6速MT 前編
公開 : 2022.09.27 08:25
英国の小規模スーパーカー・メーカー、ノーブルが最終仕上げを急ぐM500。英国編集部が公道で試作車に試乗しました。
M600を少量生産してきたノーブル
英国のノーブルは活気づくだろうか。グレートブリテン島の中部、レスターシャー州に拠点を置く小さなスーパーカー・メーカーは、これまで一度もその息を止めたことはない。
たくさんの話題を集め、少なくない購入希望者が出現したものの、生産工場の扉は閉ざされたまま量産車が現れないTVRとは違う。こちらの動向も気がかりではあるが。
一方のノーブルは、M600という名のミドシップ・スーパーカーを、2010年から少量生産し続けてきた。希望すれば、ガレージへ迎え入れることは可能だった。話題にのぼりにくいのは、単に購入を考える人が少なかったというだけだろう。
M600は素晴らしいドライビング体験を与えてくれるモデルなだけに、筆者は少々残念な事実だと思う。当初からヤマハとボルボ、ジャッドが共同開発した4.4L V8ツインターボエンジンを搭載し、659psというハイパワーを誇っていたのだ。
ただし、トランスミッションは乗り手を選ぶ6速マニュアル。乗りやすくするアンチロックブレーキも搭載されておらず、少々時代遅れ感がなかったわけではない。それでも、魅力を欠いていたわけではなかった。
フォードの3.5L V6から513ps+6速MT
最新のフェラーリは素晴らしい。だが、エンジンは電子制御されるハイブリッドで、トランスミッションも電子制御のオートマティック。リミテッドスリップ・デフやトラクションコントロールなども、見えないところでクルマを操っている。
ロータス・エキシージの生産が終了し、嘆いているのは一部のシリアスなドライバーだけかもしれないが、市場が消滅したわけではない。比較的シンプルな新しいエミーラの好調な売れ行きが、それを証明している。
ノーブルが発表した新しいM500の属する市場は、従来どおり大きなものではないだろう。だが、今まで以上に門戸は広い。M600より最高出力は劣るものの、能力は引き出しやすい。
今回ノーブルが選んだパワーユニットは、フォードのエコブースト。3.5L V型6気筒から513psを引き出すのは、難しい仕事ではないらしい。V8エンジンを輸入し、多くのチューニングを加える必要がないため、製造コストも落とせる。
組み合わされるトランスミッションは、イタリアのグラツィアーノ社が供給する6速マニュアル。アウディR8も搭載していたものだという。
もちろんミドシップのリアドライブで、試乗車にはオープンデフが組まれていた。希望すれば、機械式のリミテッドスリップ・デフを搭載できる。
アンチロック機構はM500にも採用されなかったが、恐ろしく重かったM600よりブレーキペダルは軽くなり、アシスト量も大きい。パワーステアリングとトラクションコントロールは付く。
目立った装備はこの程度。残りは操るドライバーへ任される。