世界のワイルドすぎるクルマ 43選 前編 平凡からかけ離れた異端児たち

公開 : 2022.09.24 18:05

安定した売上を目指すと、どうしても保守的な製品が多くなります。しかし、メーカーだってたまには「冒険」したいもの。今回は、革新的なデザインのクルマを紹介します。

自動車メーカーの大冒険

多くの自動車メーカーは「冒険」を好まない。販売に悪い影響を与えそうな、革新的すぎる設計は敬遠されがちだ。しかし、当然ながら例外もある。

長い歴史の中で、さまざまなメーカーが意図的(あるいは偶然)に、かなりワイルドなデザインを生み出してきた。技術的な理由から、あるいは単に時代の流行に従ったために、そのようなクレイジーな「カタチ」になったのだ。残念ながら、不幸な失敗作と言えるものも少なくない。

お世辞にも「保守的」とは言い難いワイルドなクルマの数々を紹介する。後編もお楽しみに。
お世辞にも「保守的」とは言い難いワイルドなクルマの数々を紹介する。後編もお楽しみに。

世界中を見渡すと、革新的でワイルドなクルマは枚挙に暇がない。ここでは、特に編集部の心を捉えたクルマを、メーカーのアルファベット順に紹介する。

アルファ・ロメオ・ディスコ・ヴォランテ

ディスコ・ヴォランテは、アルファ・ロメオの1900セダンに由来するスポーツ・レーシングカーで、1952年と1953年にごく少数が生産された。

ボディ周りの空気の流れをコントロールして走りを改善することは、以前から試みられていたが、ディスコ・ヴォランテはその「空力」の概念をまったく新しいレベルにまで高めたのだ。

アルファ・ロメオ・ディスコ・ヴォランテ
アルファ・ロメオ・ディスコ・ヴォランテ

3種類のボディスタイルで合計5台のみが製造されている。写真の「スパイダー」は、イタリア語で「空飛ぶ円盤」を意味する車名にふさわしいモデルである。

アルファ・ロメオSZ

アルファ・ロメオというと、美しく、曲線的なデザインが思い浮かぶのではないだろうか。クーペのSZ(写真)、コンバーチブルのRZは、そのいずれにも当てはまらない。フランス人デザイナー、ロベール・オプロン(1932-2021)のスケッチに基づいて設計されたSZは、直線的でスクエア、アグレッシブな外観だ。

イタリア人からは、承認と尊敬の念を込めてか、「イル・モストロ(怪物)」というニックネームで呼ばれる。

アルファ・ロメオSZ
アルファ・ロメオSZ

AMCペーサー

1970年代後半に米国で生産されたクルマとしては、驚くほどモダンなデザインで、膨大な量のガラスが使われている。

この先鋭的なフォルムは、AMC(アメリカン・モーターズ・コーポレーション)にとって、行き過ぎたデザインであったともいえる。デトロイトの「ビッグ3」とは異なり、AMCはペーサーで出した損失をカバーできるほどの余裕がなかったのだ。

AMCペーサー
AMCペーサー

ペーサーは決して優秀なクルマではなく、購入を避けるべき理由もいくつかあったが、わずか5年で生産終了となった要因の1つに、このスタイリングがあったことは間違いないだろう。

アリエル・アトム

アトムは、機能によって形状が決まるということ極端に表した例だ。無駄なスタイリングはまったくといっていいほど施されていない。

ボディはむき出しのスペースフレーム・シャシーであり、その隙間からドライバーや部品を見ることができる。非構造部材はほとんどない。

アリエル・アトム
アリエル・アトム

機能を追求したデザインであるにも関わらず、アリエル・アトムは一目でそれと認識できる外観となっている。これとまったく同じ姿のクルマは他にない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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