ベントレー・ベンテイガEWB試乗 ベントレー流+180mmのおもてなしと走りのレシピ
公開 : 2022.09.28 08:01
ベントレー・ベンテイガEWBに試乗。ベントレーの「大黒柱」に登場したロングホイールベース版のおもてなしと走りを解説します。
ロングホイールベースのベンテイガ
2015年に「世界初のラグジュアリーSUV」として発売されたベンテイガ。
ベントレーらしい豪奢な内外装の作り込みにくわえ、グランドツアラーに相応しい走りの力強さと快適性を実現したこのモデルは、またたく間にヒット作となり、いまやベントレーを支える大黒柱へと成長している。
ちなみに、2021年に生産されたベンテイガは5838台で、ベントレー中トップ。全体に占める割合でも39.5%と突出して高い数値を誇っている。
こうした成功にライバルブランドが刺激を受けたのは当然のこと。
その後を追うように、ランボルギーニ、ロールスロイス、アストン マーティンなどが次々とSUV市場に参入し、ついにはフェラーリまでもがプロサングエで対抗しようとしている。まさに百花繚乱の様相だ。
こうした事態に、ベントレーも手をこまねいていたわけではなく、スポーティなハンドリングのV8、よりパワフルなスピード、PHEVのハイブリッドなどを投入したほか、2020年には大規模なマイナーチェンジを実施してテコ入れを図っていた。
それでも、ボディサイズだけは如何ともしがたかった。
ベンテイガの全長は5125mmで決して短くないが、ホイールベースは2995mmで、カリナンの3295mmはともかく、DBXの3060mmやウルスの3003mmにも及ばない。
これが後席のレッグルームに影響するのは当然のこと。
そこでロングホイールベース版のベンテイガEWBを追加し、形勢逆転を図ろうとしたのである。
後席へ ベントレー流「おもてなし」
EWBとはExtended WheelBaseの頭文字で、要はロングホイールベースのイギリス的表現。
そのレシピはベンテイガのホイールベースを180mm延長して3175mmとし、ライバルに対する優位性を確保するというものだ。
しかも、ただホイールベースを伸ばすだけでなく、後席に「エアラインシートスペシフィケーション」を設定。
4シーターモデルに用意されるこの特別なシートは、22通りのシート調整を備えているほか、リラックスモードを選べばシートバックが40°まで倒れるとともに、助手席が自動的に前進して前傾し、助手席のシートバックからフットレストが現れるというもの。
まあ、この手の仕掛けは最近よく見かけるが、ベンテイガEWBの場合は、ゴロッと寝転がる姿勢までシートバックが倒れるのではなく、上半身をほどよく脱力できる程度にリクラインするのが特徴的。
実際に試してみると、このほうがコーナリング時にも上半身を支えるのが楽で、クルマ移動を考えた設定であることが確認できた。
このエアラインシートスペシフィケーションはさらにオートクライメートシステム(乗員の体温と表面湿度を検知してヒーターやベンチレーターなどを自動設定する機能)や姿勢調整システム(シート表面の圧力を測定して着座姿勢などを自動的に微調整する機能)などを装備。
後席乗員の疲労を最小限に抑えるのに役立つという。