深く満たされる上質 メルセデス・ベンツ EQS SUVへ試乗 GLSのEV版 航続511km
公開 : 2022.10.11 13:45
優れたフラッグシップEVサルーン、EQSのハードから誕生したSUV。総合的な滑らかさや上質さを英国価格は高く評価します。
もくじ
ーGLSに代わる大型ラグジュアリーSUV
ー動力性能に不足ないツインモーターの四駆
ー予測しやすい安定性に優れた操縦特性
ー深く満たされる仕上がり 価格はeトロンの倍
ーメルセデス・ベンツEQS SUV 450 4マティック(欧州仕様)のスペック
GLSに代わる大型ラグジュアリーSUV
バッテリーEV(BEV)の市場投入がやや遅かったメルセデス・ベンツだが、その後は順調にラインナップを拡大中。慎重気味だった姿勢が嘘のように、小さなクロスオーバーのEQAから、大きなワンボックスのEQVまで、多彩なモデルを提供している。
電動化技術における確かなポジショニングを短期間に築いた同社は、さらに8種類目となるEQS SUVを発表した。アルミニウムを多用したBEV専用のアーキテクチャ、EVA2をベースとするモデルとしては3種類目になる。
これは、フロア部分に駆動用バッテリーを敷き詰めたスケートボード構造のプラットフォームで、大型サルーンのEQSも採用するもの。EQS SUVでは、108.4kWhの大容量ユニットが実装される。
フラットなフロア構造のメリットとして、車内パッケージングは自由度が高い。このSUVでは、2列5シーターか3列7シーターのレイアウトを選べる。
サルーンのEQSがSクラスの次世代版といえるのと同様に、内燃エンジンモデルのGLSに代わるBEVとして、EQS SUVのボディサイズは大きい。全長は5125mm、全幅は1959mm、全高は1718mmもある。
GLSと比較すると82mm短く、3mm広く、105mm低い。ホイールベースは75mm長いが、これはサルーンのEQSと同値。生産効率を高める意図が見える。
動力性能に不足ないツインモーターの四駆
インテリアは、多くがサルーンと共有。ステアリングコラムやドアパネルの下半分には、硬質なプラスティックが用いられているのも変わらない。だが、それ以外の部分はしっかりラグジュアリーな素材で仕立てられている。
ルーフには広大なパノラミック・グラスルーフが標準装備。ブラインドを開くと、車内は陽光で満たされる。色使いもあって、明るく開放的だった。
当初英国へ導入されるEQS SUVは、ツインモーターで四輪駆動の2種類が予定されている。360psの最高出力と81.4kg-mの最大トルクが与えられるのが、450。543psと87.2kg-mを得るのが580となる。
いずれも航続距離は最長で511km。急速充電能力は200kWまで対応する。車重は450で2730kg、580はわずかに重く、2735kgだという。
どちらのグレードを選んでも、EQS SUVの動力性能に不足はまったくない。軽くない車重を考えれば、直線加速の鋭さには驚かされる。0-100km/h加速は450で6.0秒、580では4.6秒でこなす。最高速度は210km/hでリミッターが掛かる。
その加速もさることながら、EQS SUVで印象的なのがクルージング時の質感。ツインモーターは、至って静かに大きなボディを前に進める。電気的な、ウィーンという鳴き声を聞かせることなく、瞬間的に豊かなパワーがみなぎる。
高速域でも、タイヤノイズや風切り音は殆ど耳に届かない。現在の市販車では最も外界から隔離された、秀でた洗練性を持つ1台といっていい。