マセラティ 2代目となる新型グラントゥーリズモ発表 BEVとV6仕様を投入
公開 : 2022.10.04 06:05
マセラティ・グラントゥーリズモが2代目へフルモデルチェンジ。「フォルゴーレ」と呼ばれるEV仕様や、MC20と同じ3.0L V6を搭載したICE仕様を設定。エンジンの喜びと電動化の両立を目指します。
新世代のフラッグシップ
2代目となる新型マセラティ・グラントゥーリズモが正式に発表された。EV仕様とICE仕様が用意され、フラッグシップとしてスポーツカーブランドを牽引する役割を担う。
「フォルゴーレ(稲妻の意)」と呼ばれるEV仕様のグラントゥーリズモは、最高出力755ps以上、最大トルク138kg-mを発揮。0-100km/h加速はわずか2.7秒で、価格は20万ポンド(約3200万円)近くになる見通しだ。
フォルゴーレは、93kWhのT型バッテリーと3基の自社製モーター(フロントに1基、リアに2基)を搭載し、後輪駆動と四輪駆動を可能にする。充電は最大270kWまで対応し、市販EVの中で最も急速な充電が可能なモデルとなっている。
プラットフォームは新開発され、内燃機関と電動パワートレインに柔軟に対応する。すでに公開のグレカーレ・フォルゴーレをはじめとする他のモデルにも採用され、バッテリーは重量配分と重心を最適化するために中央の低い位置に配置される予定だ。
ICE仕様ではツインターボ3.0L V6エンジンを採用。フロントアクスルのすぐ後ろに搭載し、その他ドライブトレインはEV駆動用バッテリーのスペースを利用している。フォルゴーレの車重は2260kg、V6は1795kg(先代の最も軽量なMC仕様より78kg軽い)。
マセラティのグローバル・プロダクト責任者であるマッシモ・カパルディは、フォルゴーレでまったく新しい顧客層(テスラ・モデルSプレイやアウディRS eトロンGTの購入者)の取り込みを期待していると語った。
マセラティは、2025年までにEVラインナップを完成させる計画で、これにはスーパーカーであるMC20のEV仕様も含まれる。
エンジンはまだ捨てられず
しかし、カパルディはAUTOCARに対し、「ブランドの柱」であるグラントゥーリズモについて、まだ完全に内燃機関を捨てる準備ができていないと話す。そのため、デチューンされたとはいえ、MC20と同じネットゥーノ・エンジンを搭載したガソリン仕様が導入されたのである。
こちらは最高出力558ps(MC20より72ps低い)、最大トルク66kg-m、0-100km/h加速3.5秒(トロフェオ仕様)を誇るモデルで、価格はEV仕様より5万ポンド(800万円)ほど安くなる見込みである。また、最高出力496ps、最大トルク61kg-mのモデナ仕様も用意される予定。
V6仕様とEV仕様の外観上の違いは、フロントバンパーの形状とエグゾーストパイプの有無にあり、見分けるポイントは少ない。また、リアモーターを搭載するスペースの関係で、V6仕様はEV仕様よりもトランクが大きくなっている。
パワートレインを除けば、最も決定的な違いはサウンドだ。3.0L V6エンジンの排気音に代わって、フォルゴーレは外部と内部にスピーカーを搭載し、EVとV8エンジンを融合させたような「ユニーク」なサウンドトラックを奏でる。「他に類を見ない、新しいコンセプトです」と、チーフエンジニアのダヴィデ・ダネシンは語る。
しかし、ダネシンが最も自信を持って紹介する機能は、どんなドライバーでも車両性能を最大限に発揮できるようにするVDCM(ビークル・ドメイン・コントロール・モジュール)である。自社開発されたこのモジュールは、選択したドライブモードに応じて電子制御のサポートレベルを調整する。
「これは、将来への大きな投資でもあります。どんなスキルレベルでも、システムに(すべての性能を使いこなすための)手助けをさせることができるのです」とダネシン。