世界一のジャンクヤード? 米アイダホ州の廃車売り場で宝探し 前編

公開 : 2022.10.09 06:05

米アイダホ州ウェンデルに、1920~1990年代に製造されたクルマ(廃車)が山のように集められています。すべて部品取りやレストア用として販売されており、旧車マニア垂涎のジャンクヤードとなっています。

クラシックカー・マニア垂涎の場所

米アイダホ州ウェンデルにあるL&Lクラシック・オート(L&L Classic Auto)は、間違いなく世界有数のジャンクヤードであり、米国最大のビンテージカー専門店の1つでもある。

1968年に設立されたこのヤードには、120エーカー(約4万8000平方メートル)の広大な敷地に、1920年代から1990年代までの8000台を超える部品取り車が置かれている。また、レストア用のプロジェクトカーも400台販売されており、スペアパーツでいっぱいになった倉庫も数か所ある。

世界有数のジャンクヤードでお宝探しと洒落込む。
世界有数のジャンクヤードでお宝探しと洒落込む。

今回はこのジャンクヤードの中から、筆者の印象に残った逸品を紹介したい。

航空写真

編集部はL&Lクラシック・オートを一通り探索するのに数時間を費やしたが、この航空写真からわかるように、すべて周るには数日必要かかるだろう。また、クルマは岩場や低木の陰に隠れていることもあり、どんな逸品があるかわからない。

L&Lクラシック・オートの航空写真
L&Lクラシック・オートの航空写真

キャデラックの霊柩車(1954年)

このヤードでは、頑丈な作りの1954年式キャデラックの霊柩車を5500ドル(約80万円)で売りに出している。コーチビルダーのS&Sが製造したもので、駆動系が欠落しているが、希少性を考えると悪くない価格かもしれない。

1954年、救急車や霊柩車、花屋の移動販売車に改造するためにS&Sに販売されたキャデラックはわずか1611台だった。この個体は当初、サンフランシスコの顧客向けに作られたものだ。

キャデラックの霊柩車(1954年)
キャデラックの霊柩車(1954年)

フォード・アングリア100E(1953年)

この英国製フォード・アングリア100Eは、誰かが缶切りでも使ってルーフを持っていったかのような姿をしている。ドアの形状をみてほしい。この不可解な「怪物」を作った人は、ナッシュ・メトロポリタンのスタイリングを再現しようとしたのだろうと思われる。

アングリア100Eは、1953年から1959年にかけて10万台以上製造された。

フォード・アングリア100E(1953年)
フォード・アングリア100E(1953年)

キャデラック・クーペ・ドゥ・ビル(1977)

アイダホ州ウェンデルの年間降雨量は、全国平均38インチ(965mm)であるのに対し、わずか10インチ(25mm)しかない。そのため、L&Lクラシック・オートはクラシックカーの保存に強いのだ。

とはいえ、この1977年式キャデラック・クーペ・ドゥ・ビルが最後に走った日は、ワイパーの位置からして雨だったのだろう。「次世代のラグジュアリーカー」と謳われたクーペ・ドゥ・ビルは、先代よりも小型・軽量化されたモデルだ。

キャデラック・クーペ・ドゥ・ビル(1977)
キャデラック・クーペ・ドゥ・ビル(1977)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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