贅を極めた超高級EV ロールス・ロイス・スペクター 世界初公開の2ドア・クーペ

公開 : 2022.10.19 05:25

ロールス・ロイス初のEV「スペクター」がついに公開されました。リアヒンジのドアを持つ2ドア・クーペで、空力性能を重視した新しいデザインと、最高出力585psの強力なモーターを採用しています。

ブランド初のEV、ついに登場

英国の高級車ブランド、ロールス・ロイスは、同社初のEV「スペクター(Spectre)」を公開した。2023年に発売される予定で、新しいブランドデザインと高度なテクノロジーの導入が期待される。

新型スペクターは、ロールス・ロイス独自のアルミニウム製プラットフォーム「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用しているため、親会社BMWとは直接の関連を持たない。

ロールス・ロイス・スペクター
ロールス・ロイス・スペクター    ロールス・ロイス

英ウエスト・サセックス州に本社を置くロールス・ロイスは、2030年から従来のエンジンを廃止し、EVのみを販売する計画である。同社CEOのトルステン・ミュラー・エトヴェシュは、この点において、スペクターの重要性は1906年のシルバーゴーストと同じくらいであるとAUTOCARに語っている。

今年販売を終了したドーンとレイスの後を継ぐ2ドア・クーペで、価格は未定だが、およそ27万5000ポンド(約4600万円)からと予想される。

パワートレイン

2011年、ファントムVIIをベースにしたEVプロトタイプ「102EX」が披露された。それから実に11年、新型スペクターは性能と実用性の面で大きな飛躍を遂げている。

ロールス・ロイスは、2023年第2四半期のテスト終了後に性能の詳細を明らかにする予定だが、最大195kWでの充電が可能な120kWhバッテリーを搭載し、102EXをはるかに上回る520kmの航続距離が見込まれる。

ロールス・ロイス・スペクター
ロールス・ロイス・スペクター    ロールス・ロイス

最高出力585ps、最大トルク91.8kg-mを発揮。0-100km/h加速は4.5秒台とされている。

スペクターは、2016年に発売された2ドアのファントム・クーペの精神的後継車とされているが、既存のエンジン車を電動化して作り直したものではなく、一から開発されたまったく新しいモデルとなる。

ミュラー・エトヴェシュCEOはこう語る。「ゴーストを改造するのは簡単でしたが、そのつもりはありませんでした。わたし達は、妥協した改造車ではなく、最初から電動ロールス・ロイスとして設計された、本物の電動ロールス・ロイスを作りたかったのです」

デザイン

根本的な構造の違いや、市場初の「超高級スーパークーペ」という触れ込みにもかかわらず、照明付きの巨大なクロームグリル(同社で最も広いグリル)からリアヒンジドア、スリムなLEDヘッドライト、堂々としたキャブバックのシルエットまで、明らかにロールス・ロイスとわかるスタイリングである。

しかし、電動パワートレインの採用により、空力性能を重視する必要があったため、フロントエンドはやや丸みを帯び、リアはボートスタイルになっている。ロールス・ロイスによると、空気抵抗係数を示すCd値はテスラモデルXと同じ0.25であるという。

ロールス・ロイス・スペクター
ロールス・ロイス・スペクター    ロールス・ロイス

1911年以来ブランドのマスコットとなっているスピリット・オブ・エクスタシーは、ボンネット前縁の気流への影響を最小限に抑えるために、わずかにデザインが変更された。

また、ボディはシルに沿って内側にカーブし、路面を反射してレーシングヨットの船体のような「単純ではない動きの感覚」を与えつつ、フロントエンドに向かってスイープすることで加速する船のような印象を作り出しているという。

「EVを作るにあたり、真にエモーショナルなクルマを目指したいと思いました。そのため、ファストバック・クーペにしたのです」と、ミュラー・エトヴェシュCEOは語っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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