軽量&過激な新モデル アルピーヌA110 R 仏で一般公開 最後のエンジン車?

公開 : 2022.10.20 19:25

新型アルピーヌA110 Rがパリ・モーターショー2022で公開されました。高性能のA110 Sよりもさらに軽量で、サーキット走行に焦点を当ててシャシーを鍛え上げた「過激」なハードコアモデルとなっています。

「過激」な超軽量モデル

アルピーヌは、A110のハードコアモデル「A110 R」をパリ・モーターショー2022で一般公開した。数年以内に発表される次世代EVを前にした、最後のモデルになる可能性があると、プロダクト・パフォーマンス担当副社長のソバニー・アンは認めている。

価格は未定だが、日本でも11月下旬に受注を開始する予定。車名のRは、「ラディカル(過激)」を意味し、モータースポーツからインスピレーションを得た、妥協のないサーキット向けのモデルとして開発されている。

パリ・モーターショー2022で公開されたアルピーヌA110 R
パリ・モーターショー2022で公開されたアルピーヌA110 R    AUTOCAR

エントリーグレードのA110、ミドルグレードのGT、そして高剛性のSの上に位置し、A110ファミリーの中核をなす存在となる。2026年に電動化した後継モデルが登場する見通しだが、その前にさらなるバリエーションが登場するかどうかは明らかでない。

A110 Rの車重はわずか1082kgで、Sから34kgの減量に成功。欧州向けの2.0LのマツダMX-5(ロードスター)よりもさらに軽い。この軽量化は、カーボンパーツと専用タイヤの使用によって達成されたとソバニー・アンは説明する。

バケットシートの採用、エンジンルームの防音材の除去、ガラス製リアパネルからアルミ製リアパネルへの変更、そしてボンネット、ホイール、リアウィンドウパネルへのカーボンファイバーの使用などが主な軽量化要因である。

サーキット走行に特化した仕上げ

また、敏捷性にも重点を置いている。アルピーヌのF1エンジニアと協力しながら、エアロダイナミクスを構成し、シャシーをオーバーホールして最大限の剛性と応答性を実現したという。

スワンネックスポイラー、リアディフューザー、フロントホイールデザイン、サイドスカートの形状変更などにより、ダウンフォースはA110 Sより最高速度で29kg、ドラッグはトラックモードで5%低減。高速走行とコーナーでの安定性を向上させた。

パリ・モーターショー2022で公開されたアルピーヌA110 R
パリ・モーターショー2022で公開されたアルピーヌA110 R    AUTOCAR

さらに、油圧調整式ザックス製ダンパーにより10mmのローダウンが実現し、「究極のオン・ザ・トラック体験」が味わえるとしている。また、剛性を前後スプリングで10%、フロントアンチロールバーで10%、リアアンチロールバーで25%向上。タイヤは、サーキットでの耐久性を高めながらコーナリンググリップを15%向上させたというセミスリックのミシュランPSカップ2を装着している。

ブレーキは、ブレンボ製の320mmコンポジットディスクが装備され、フロントバンパー後方に専用の冷却スクープを追加して安定した性能を発揮できるようにした。

ドライブトレインの変更は、比較的小規模なものだ。Sと同じ最高出力300psの1.8Lターボ4気筒エンジンと7速ATを搭載しているが、「アルピーヌの名にふさわしい轟音」を奏でるためにエグゾーストに手が加えられている。

こうした改良により、0-100km/h加速はSより0.3秒速い3.9秒、最高速度は285km/hに達する。

A110 Rは、F1のチームカラーと同じマットブルーの特注ペイントで仕上げられ、カーボンファイバー製のルーフパネルはむき出しのままとなっている。インテリアでは、マイクロファイバーを多用し、6点式レーシングハーネス、ドアハンドルの代わりにプルストラップを採用するなど、サーキット走行に特化したクルマであることをアピールしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事