ブランド初のハイブリットSUV アルファ・ロメオ・トナーレ・ヴェローチェへ試乗 追ってPHEVも

公開 : 2022.11.05 08:25

時流に乗った小型SUVのトナーレ。パワートレインの一癖に慣れれば、ブランドらしい走りを楽しめると英国編集部は評価します。

アルファ・ロメオ初となるハイブリット

アルファ・ロメオ・トナーレは、ブランドが打ち立てた10年間のプロダクト計画に沿って開発が進められた。今後数年間、毎年のように新モデルがリリースされる予定で、2024年には同社初のバッテリーEV(BEV)も控えている。

2027年には、すべてのアルファ・ロメオがBEV化されるという。この手の内容は他の自動車メーカーも発表しているが、同社はかなり本気なようだ。その第一弾が今回試乗したトナーレ。ブランド初となる、電動化技術を搭載している。

アルファ・ロメオ・トナーレ 1.5ヴェローチェ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・トナーレ 1.5ヴェローチェ(英国仕様)

マーケティング担当者の話では、環境に配慮されたクロスオーバーとすることで、英国市場では約40%の自動車ユーザーの視野にアルファ・ロメオが加わることになるらしい。それ以前のトナーレは、15%に留まっていたとのこと。

アルファ・ロメオの伝統を振り返ると、面白みに欠けるプロダクト戦略にも思える。しかし、収益性の高いモデルを擁することで、15万ポンド(約2520万円)と噂されるスーパーカーの開発資金の確保にもつながる。トナーレが背負うものは小さくない。

コンパクト・クロスオーバーという市場は、競争が極めて厳しい。この戦いに競り勝ち、ステランティス・グループの上層部を安心させることはできるだろうか。

過去モデルに通じるデザインの特徴

トナーレのスタイリングを眺めると、過去のアルファ・ロメオに通じる特徴が散りばめられているのがわかる。ヘッドライトは奇抜だったスーパーカー、SZのものに似ているし、リアウインフォウは優雅な8C コンペティツィオーネと似ている。

もちろん、単純にそれらの特徴を寄せ集めただけではない。実物のトナーレは、写真で見るより美しく落ち着いている。

アルファ・ロメオ・トナーレ 1.5ヴェローチェ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・トナーレ 1.5ヴェローチェ(英国仕様)

ライバルモデルと比較すれば、アルファ・ロメオらしく華やかでもある。レッドやブルー、グリーンといった鮮やかなボディカラーなら、更に印象は良くなるように思う。

トナーレに搭載されるパワートレインは、すべてハイブリッド化されている。現在英国で選べるのは160psのマイルド・ハイブリッドのみだが、2023年には274psのプラグイン・ハイブリッド(PHEV)も登場予定にある。

PHEVの場合は四輪駆動のみの設定で、約80kmを電気の力だけで走行可能。英国では税金を低く抑えることができ、主力になると予想されている。

今回は、右ハンドル車のトナーレ 1.5ハイブリット・ヴェローチェへ試乗させていただいた。前輪駆動で、英国価格は4万2495ポンド(約713万円)からとなる。

お手頃とはいえないものの、アダプティブダンパーに19インチ・アルミホイール、アルカンターラ仕上げのインテリア、アルミニウム製シフトパドルなどを備え、価格には競争力がある。トランスミッションは7速デュアルクラッチ・オートマティックだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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