ハッチバックの王子様 フォード・フィエスタ 2023年に生産終了 欧州

公開 : 2022.10.27 06:05

欧州フォードのコンパクト・ハッチバック、フィエスタの生産が来年に終了することが明らかになりました。8世代、47年の歴史に幕を下ろし、電動クロスオーバーへバトンを渡します。

欧州フォードの象徴的存在 EVへバトンタッチ

フォードは2023年、欧州向けのラインナップからコンパクト・ハッチバックのフィエスタを廃止することを明らかにした。

ドイツ・ケルンにある工場でのフィエスタの生産は6月末までに終了し、8世代、47年間にわたる歴史に幕を下ろすことになる。

8世代、47年にわたって欧州フォードを支えてきたフィエスタ。最近は目立ったセールスがなく、ついに生産終了が決定した。
8世代、47年にわたって欧州フォードを支えてきたフィエスタ。最近は目立ったセールスがなく、ついに生産終了が決定した。

また、MPVのSマックスとギャラクシーの生産も4月で終了することが決定した。両モデルは現在、スペイン・バレンシアの工場で生産されている。

10月26日に発表されたフォードの声明には、こう示されている。

「欧州フォードでは、2030年までに乗用車を完全電動化し、2035年までに全ての車種を電動化することで、EVへの移行を加速させます」

「これに向けて、2023年4月にはスペイン・バレンシアでSマックスとギャラクシーの生産を終了し、2023年6月末までにドイツ・ケルンでのフィエスタの生産を終了する予定です」

「当社は2024年までに、3台のエキサイティングな乗用EVと4台の新しい商用EVを欧州に導入します。2026年には同地域で60万台以上のEVを販売する計画であり、ケルン・エレクトリフィケーション・センターでの乗用EVの生産台数は6年間で120万台に達します」

ハッチバックはクロスオーバー/SUV人気に押され、欧州フォードではプーマが一番の売れ筋となっている。英国では今年、フォード・プーマは販売台数で3位についている。

ライバルとの競争も激しく、フィエスタはオペル/ヴォグゾールコルサプジョー208の後塵を拝している状況だ。最近フェイスリフトを行ったにもかかわらず、現在までのところ今年の販売台数トップ10にランクインしていない。

調査会社ジェイトー・ダイナミクスのデータによると、8月末までのフィエスタの販売台数(欧州全域)は、2021年と比較して45%減の3万8911台。一方、プーマの販売台数は2021年比14%減の9万893台である。

8月だけで、プーマは9891台が販売され12位につけた。フィエスタは2735台にとどまり、トップ50にも入ることができなかった。

今年初めには、フォードはハッチバックよりもレゴ(LEGO)のライセンス契約から多くの利益を得ているという推測も出た。

フィエスタの兄貴分としてCセグメントのフォーカスがあるが、こちらも2025年に生産を終了することが6月に発表された。後継車の計画は確認されていない。

これに代わり、プーマのEV仕様とマスタング・マッハEの間に位置する電動クロスオーバーが登場すると予想されている。まだ詳細は未発表だが、2023年に発売される見込みで、フォルクスワーゲンID.4をベースに、ドイツ・ケルンにあるフォード最新鋭のEV工場で生産される可能性がある。

その翌年には、フォルクスワーゲンID.5をベースにしたクーペSUVも登場する見通しである。

記事に関わった人々

  • AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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