【現実の環境でテスト】BMW iX xドライブ50 一般道/高速道路/峠道で検証
公開 : 2022.10.31 20:15 更新 : 2022.11.01 10:33
現実に即した環境でBMW iX xドライブ50試乗。充電時間やドライブフィールなど、良かったこと、気になったことを紹介。
BMW i3発売時から時代は変化
BMWがi3で日本市場に躍り出たのは、2014年のことである。
このクルマは当時のBMWのEV知見をすべて組み込んだ意欲的な車両であったが、EVへの認知度の低さと、まるでゴーカートのようなテイストのドライブフィールや走行距離の短さから、かなり販売は苦戦したようだ。
当時は、現在よりもEVに対する認識も浅かったので、ただ物めずらしさだけで評価した人も多かったように思える。
わたしも、i3の試乗のためにわが家のガレージに100V、200Vのコンセント型の充電器を設置し、一応EVへの対応をしたつもりになっていたが、8年後の現在からすれば、まだ、稚拙であったという感は免れない。
現在、i3は中古市場でかなり人気がありファンも多いのは、やっと当時のBMWの見識が理解されつつあるということなのだろう。
印象的なキドニーグリルの「絵」
さて、そのBMWが、i3、i8で経験した知見をいかし、満を持して発表したのがiXである。
今回、試乗のために借り出したのは、3種類あるグレードのうち真ん中のxドライブ50である。
初めてクルマを見ると思ったより大きなボディサイズに驚かされるが、数値的にも全長4955mm、全幅1965mm、全高1695mmであるから、実際のサイズも大きい。
アヴェンチュリン・レッドというボディカラーは、ワインレッドに近い色彩で、意外にオーソドックスでボクシーなデザインによくマッチしている。
しかし、そんなことは初めてこのクルマを見た人は眼に留まらず、最大の注目点はフロントのキドニーグリルのデザインであろう。
巨大化して、もはやキドニーグリルという概念を突き抜けており、これまで、BMW一筋であったマニア達の困惑を招いている。
このデザインの評価については本国のAUTOCAR編集部でも論評を避けており、今のところ将来、歴史に残る大変貌となるのか、それとも駄作で終わるのかは予測がつかない。
BMWの場合は、クリス・バングルによる4台目7シリーズのデザインで物議を醸したことが記憶にあるが、そのデザインは、その後高い評価を受けたので、違和感はあるもののなかなか嫌いとは言い切れないかもしれない。
繰り返していうと、キドニーグリルに惑わせられなければ、意外なことに他の部分はごく普通のデザインであることに気が付くだろう。
キドニーグリルの中の格子状の細かい模様は、平面に描かれたただの絵で、凹凸がまったくない。
てっきり立体的であろうと思い込んでいたのでびっくりしたが、EVであるから特に通風はいらないのである。これは、どうやら最近発売されたベンツのEQSでも同様のようだ。