約50年ぶりの復活 フェラーリ 新型ル・マンハイパーカー初公開 2023年デビュー

公開 : 2022.10.31 19:05  更新 : 2022.10.31 21:22

フェラーリは、2023年からWEC(世界耐久選手権)に投入する新型ハイパーカー「499P」を公開しました。ロードカーとのつながりを強く意識した、真のフェラーリ製レーシングカーであるとされています。

跳ね馬のLMHマシン ル・マン攻略へ

フェラーリは、2023年のル・マン24時間レースへ投入する新型ハイパーカー「499Pル・マン・ハイパーカー」を発表した。WEC(世界耐久選手権)への参戦は約50年ぶりとなる。

このモデルは、フェラーリがイモラで主催したイベント「フィナーリ・モンディアーリ」において、初めて公開された。2023年のWECに、フェラーリのファクトリーチームであるAFコルセから2台がエントリーする。レースデビューは3月17日のセブリング1000マイル。

フェラーリ499Pル・マン・ハイパーカー
フェラーリ499Pル・マン・ハイパーカー    フェラーリ

車名の「499」はV6ツインターボエンジンの排気量、「P」はプロトタイプを意味し、1973年の最後の耐久レーサー、312Pにちなんでいる。また、カラーリングに採用されたイエローのストライプも象徴的なものである。

フェラーリは、499Pを真の自社製ハイパーカーとするために、ポルシェなどが採用しているLMDh規定ではなく、LMH規定に従って開発した。経済的でシンプルなLMDhは、ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングとボッシュが供給するハイブリッドシステムとエクストラック・トランスミッションに依存している。一方、フロントアクスルに接続されるフェラーリ特製の900V、200kWのエネルギー回生システム(ERS)技術は、自社のF1チームでの経験から開発されたものである。

「LMHを選んだのは、すべての車両とパーツをフェラーリが作ることが重要だからです」と、耐久レースの責任者アントネッロ・コレッタは語る。「フェラーリはコンストラクターであり、マシンのメーカーです。ルールによってクルマのすべてを作るチャンスが与えられたため、プロトタイプの世界に戻ってくることにしたのです。このクルマは、フェラーリの技術のマニフェストなのです」

499Pの6気筒エンジンは、296 GTBのレース仕様、296 GT3のユニットをベースにしている。「もちろん、ストリートカーのエンジンとはまったく異なるものです。しかし、これがわたし達の哲学のベースであり、当社の6気筒ロードカーの経験がすべて、このエンジンのベースになっているのです」

「これは、フェラーリにとって重要なことです。プロトタイプに戻ったとはいえ、ストリートカーのための実験室であることを忘れてはいない。このつながりは、とても重要なものなのです」

フロントアクスルからERSへの運動エネルギー回収を可能にするため、ブレーキバイワイヤ・システムが開発された。パワーは7速シーケンシャル・トランスミッションを通じて車輪へ供給される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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