自宅に充電器がない! アパート住みでもEVを充電する方法 英国の事例
公開 : 2022.11.02 19:45 更新 : 2022.11.02 20:44
集合住宅など、自宅に充電設備がない人はどのようにEVを充電するのか。クルマの電動化を急速に進める英国の「充電事情」を紹介します。
電動化を急ぐ英国の充電事情
2030年にガソリン・ディーゼル車の新車販売を禁止する英国では、EV(電気自動車)の普及を急いでいる。EVにおける課題の1つが、「どう充電するか」だが、英国のEVオーナーの約9割は、自宅で充電しているという。
家庭の電気代が安くなるだけでなく、夜寝ているときなど、クルマを動かしていないときに充電できるので効率的と言えるだろう。英国での充電は一見すると、とても簡単に思えるかもしれないが、実態はそうでもないようだ。
自宅で充電するには、車庫か路上駐車場(英国では自宅前の路上駐車も一般的)に充電器が必要だ。しかし、英国の40%以上の家庭には、このような設備がない。そのため、都市部であろうと郊外であろうと、EVを所有したり運転したりすることが難しくなっている。そうした環境に住むオーナーは、どのように充電すればいいのだろうか。
今回は、英国におけるEVの充電事情を紹介したい。
歩道をまたいで充電ケーブルを伸ばす
理論上、最も簡単な充電方法は、自宅の敷地内からケーブルを引き、歩道を横切り、路上駐車したEVに接続することだ。しかし、当然ながら歩行者や自転車がケーブルにつまずく危険があり、法的なリスクもあるため必ずしも推奨はされない。
どうしてもこの方法で充電しなければならない場合、いくつか注意点がある。まず、ケーブルはできるだけ平らに敷くこと、充電が完了したらケーブルをすぐに取り外すことだ。また、電源は1階か地下にあるものに限ること。2階の窓からケーブルをぶら下げるのは、この上なく嫌われる。
道路工事中の舗道でよく使われているような、ケーブルプロテクターの使用も検討できる。滑りにくいプラスチック製で、黄色と黒のような目立つ色で仕上げ、視認性を高めるといいだろう。ただし、充電のたびにプロテクターとケーブルを設置・回収しなければならない。
英国の法律的には、歩道を横切ってケーブルを通すことは違法ではないが、歩行者に危険や迷惑をかけないようにしなければならない。万が一、誰かがつまづいて怪我をした場合は、法的な責任を問われてしまう。そのため、各自治体ではこのような行為に注意を促しているが、完全に禁止している自治体はごく少数にとどまる。
英国企業のGreen Mole社は、歩道の下に専用のトンネルを作る方法を提案している。基本的には、標準的なウォールボックス充電器を自宅の壁に取り付け、歩道に小さな溝を掘り、滑り止めの金属カバーで覆う。充電するときは、車道側のカバーのパネルを外し、充電ケーブルを引っ張るだけだ。まだ開発の初期段階であり、価格も3000ポンド(約50万円)と決して安くはないが、路上充電の問題点の多くを解決している。