アルヴェルより個性的? 中国から新型電動ミニバン「009」発表 2023年に欧州参入も

公開 : 2022.11.03 06:05

ジーリー傘下のEVブランド、Zeekrは、2023年に欧州市場へ進出すると発表しました。11月にその詳細が明かされる予定で、これに先立ち新型電動ミニバン「009」が公開されています。

ジーリー傘下の新ブランド、欧州進出

中国の自動車大手ジーリー(吉利)傘下のEVブランドであるZeekrは、グローバル戦略の一環として、2023年に欧州市場に参入する予定であることを明らかにした。11月末に計画の詳細を発表するという。

同時に、新型ミニバン「009」が公開されている。こちらの欧州導入予定は不明だが、6人乗りのEVで、航続距離800km以上を実現するという。

Zeekr 009
Zeekr 009

Zeekrは中国市場をベースに成長を続けており、10月にはブランド初のモデル「001」の販売台数が1万109台を記録した。

ジーリー・ホールディングスの社長であり、ジーリー・オートの会長でもある安聡慧は、Zeekrが世界市場への進出に備えて、来年2車種の新モデルを発売することを明らかにした。

ジーリーの関係者によると、この2車種は4ドア・セダンと中型SUVであり、いずれも欧州の安全規制を満たすように設計されているとのこと。これに続き、さらなる新モデルも計画中だ。

現段階では、欧州市場の一部の地域に参入するとされているが、具体的な内容は不明である。

Zeekrは2021年に設立されたばかりで、中国における高級車ブランドとして位置づけられている。ジーリー傘下の兄弟ブランドとして、ボルボロータス、Lynk & Co、プロトン、ジオメトリーなどがある。また、ジーリーはスマートの株式を50%保有しているほか、メルセデス・ベンツアストン マーティンなどの株主でもある。

安聡慧は、Zeekrは今年中に7万台の販売を達成する予定であると述べた。また、2025年までに年間販売台数65万台まで拡大するという従来の目標も改めて強調した。

6人乗りの電動ミニバン スライドドアも

ジーリーが新たに発表した「009」は、6人乗りの電動ミニバンで、同ブランド2番目のモデルとなる。

ジーリーのEV用プラットフォームSEA(新型スマート#1にも採用)をベースに、CATL社製の第3世代バッテリー「Qilin」を搭載。これは、容量140kWhのリチウム・ニッケル・マンガン・コバルトバッテリーで、中国の小型乗用車テストサイクルで822kmの航続距離を実現するとされている。

Zeekr 009
Zeekr 009

2基の同期モーターにより、最高出力543psを発生。Zeekrによると、0-100km/h加速はわずか4.5秒になるという。

中国での価格は49万9000人民元(約1000万円)から58万8000人民元(約1180万円)。

車重2830kgの四輪駆動車で、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク式となっている。オプション設定のエアサスペンションは、オートセルフレベリング機能と電磁制振装置を備えている。

009の特徴的な外観と箱型のシルエットは、スウェーデンにあるZeekrのグローバルデザインセンターで作られたものだ。154個のLEDライトで構成された「スプリング・オブ・ライト」グリルは、プログラムにより「さまざまなシナリオ」を演出できるという。

フロントガラスは同クラス最大とされるが、空気の流れをスムーズにするAピラーとの組み合わせにより、空気抵抗係数はCd値0.27とされている。

ホイールハウスには最大20インチのホイールが収まり、リアドアは左右ともスライド式だ。

リアエンドには、フルワイドのテールライトと大型テールゲートを装備している。Zeekrによると、リアのアルミボディ構造は長さ1400mm、幅1600mmにおよび、市販車に使用される一体型ダイキャスト構造としては最大であるという。

ボディサイズは、全長5209mm、全幅2024mm、全高1867mm。ホイールベースは3205mm。

車内は2+2+2のレイアウトで6人乗り。2+2のエグゼクティブ仕様も発売予定。2列目シートはナッパレザーで、シートベルトとの一体型となっている。各シートにはテーブルが付属し、オプションで15.6インチのデジタルディスプレイも用意されている。

また、イスラエルに拠点を置く先進運転支援システム開発会社モービルアイとの協力により、7台の400万画素HDカメラ、4台の200万画素サラウンドビューカメラ、1台の超長距離ミリ波レーダー、12台の短距離超音波レーダーが搭載される。このシステムにより、30種類の運転支援機能を実装できるという。

009は中国・寧波にあるジーリー工場で生産される予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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