ボルボ 次世代EV「EX90」一部公開 スカンジナビアン・デザインのSUV

公開 : 2022.11.03 06:25

2023年に発売予定のボルボの次世代EV「EX90」が一部公開されました。先進的な安全技術と新プラットフォームSPA2を採用した、新たなフラッグシップモデルとなります。

ボルボから大型の電動SUV

ボルボの新型EV「EX90」の予告画像が公開された。正式発表は11月9日を予定している。

EX90は来年欧州で発売される予定で、ボルボの新たなフラッグシップモデルとなる。SPA2プラットフォームを市販車として初めて採用し、先進の安全技術が搭載される見通し。

ボルボEX90のティーザー画像
ボルボEX90のティーザー画像    ボルボ

今回公開された画像では、全体像をはっきり見ることはできないが、空力性能を重視したデザインであることは明らかだ。ボルボは空気抵抗係数としてCd値0.29を謳っている。

インテリアでは、乗員に明確な情報を示すことに重点を置いているようだ。物理的なボタンは廃止され、ほとんどの車載機能(ナビやメディアなど)が中央の大型タッチスクリーンで操作できるようになっている。

ドライバー正面には小さなスクリーンが配置され、航続距離、速度、ナビゲーションの指示などが表示される。

ボルボのUX(ユーザー・エクスペリエンス)責任者であるトーマス・ストヴィチェクは、「適切な情報を適切なタイミングで提供することが重要です。運転に集中できる、シンプルで安全なものにしたい。クルマは周囲の状況やドライバーをこれまで以上に理解するので、雑多なモード切り替え、注意散漫、情報の過多を減らし、より安全な状況を作り出すことができるのです」と語っている。

XC90の後継モデルと併売

ボルボは2025年から年間60万台のEVを販売する計画で、2030年までに完全なEVメーカーとなることを目指している。EX90は、ブランドの象徴として非常に重要なモデルとなるだろう。

2021年に公開された「コンセプト・リチャージ」をベースとする次世代EVであり、近年競争が過熱しつつあるフルサイズ電動SUVとなる。

ボルボEX90のティーザー画像
ボルボEX90のティーザー画像    ボルボ

いわゆるスケートボードスタイルの構造により、広く柔軟性の高い室内空間を実現する見通し。物理ボタンを減らすなど可能な限りシンプルな運転環境を目指しており、XC40リチャージやポールスター2で見られるように、センタータッチスクリーン(グーグル開発のソフトウェアを内蔵)で車載機能を操作することになるだろう。

一方、内燃機関を搭載したXC90の後継モデルも、EX90とともに販売される計画で、SPA2プラットフォームを共有する兄弟車となる。

先進の安全技術を満載

EX90の重要な特徴として、最先端の安全システムが標準装備されるとボルボは言う。車両の外側と内側に「保護シールド」が装着されるほか、ドライバーが注意散漫になっていたり、疲れていたりするときにレーダーとカメラを使って運転を支援するとのこと。

車両の周囲の環境をマッピングするLiDARシステムを搭載し、障害物や危険を避けるために速度を落としたり、ステアリング操作に介入したりすることができる。ボルボは、ドライバーの注意力や健康状態を監視する車内カメラと組み合わせることで、死亡や重傷のリスクを最大20%低減できるとしている。

ボルボEX90のティーザー画像(ダッシュボード)
ボルボEX90のティーザー画像(ダッシュボード)    ボルボ

ボルボの安全システム開発に携わるミカエル・リュンオーストは、「誰かが常に道路を監視する必要がありますが、ドライバーができない場合もあります」と語る。

「それは自然なことです。そのため、自動車が常に道路を見る(必要なときに制御する)することにしました」

リュンオーストはAUTOCARに対し、車載コンピューターもドライバーを理解し、運転の傾向を学習することで、「人間の注意が他所に向くタイミングを理解する」ことができるようになると述べている。

ボルボのシニア・セーフティ・リサーチ責任者であるエマ・ティヴェステンは、これらの機能はドライバーの任意でオフにできることを認めたが、それに対して注意を促している。

「わたし達は、自動車がこれ以上事故を起こさないようになるまで、革新を続けていきます。すべては、より多くの命を守るためです。EX90は、ボルボ・カーズの新時代の幕開けであり、当社の安全性、品質、革新を未来に引き継ぐものです」

こうした新技術の導入は、当然ながら価格にも反映されるだろう。詳細は11月9日に明らかにされる見込みだが、XC90よりも高価なモデルとなる可能性が高い。

2代目となる現行のXC90は、発売7年目にして好調な売れ行きを維持している。2021年1~10月の間でボルボの世界販売の約6.5%を占め、XC60とXC40に次ぐ第3位のセールスを見せている。

ボルボの前CEO、ホーカン・サミュエルソンは以前のAUTOCARの取材に対し、SUV人気を受けてV60V90といった従来のワゴンタイプを徐々に縮小していくと語っていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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