バイクは無理でもコレなら乗れる? ドゥカティ・プロ3へ試乗 航続約50kmの電動キックボード

公開 : 2022.11.14 08:25

バイク界のフェラーリやランボと称されるイタリアの名門が、電動キックボードを発売。英国編集部が試乗しました。

名門バイクメーカーによる電動キックボード

ドゥカティ・プロ3は、イタリアの名門バイクメーカーが発売した電動キックボード。同社は都市部向けの電動モビリティ・ブランドを立ち上げ、英国でも電動スクーターのMG-20など複数モデルを展開している。

現在はまだだが、英国でも電動キックボードの公道走行が合法化される見込み。政府は交通法の改定を進めており、施行とともにプロ3も普段使いが可能になる。現在は、私有地などに限って楽しむことができる。

ドゥカティ・プロ3(英国仕様)
ドゥカティ・プロ3(英国仕様)

今回試乗したプロ3は、ドゥカティの電動キックボードでは最上位モデルに当たる。動力源は、リアタイヤ側に搭載された350Wのブラシレスモーター。急な上り坂などでは、短時間だけ515Wへパワーを高めることもできる。

駆動用バッテリーはボード部分に搭載され、容量は468Wh。航続距離は49.9kmで、最高速度は24.9km/hに制限されている。ライダーの体重は、100kgまで対応する。

滑らかなアスファルト上では、英国価格799ポンド(約13万円)の電動キックボードとして、乗り心地は快適と呼べる。ただし、サスペンションのないこの種類の乗り物に共通することだが、荒れた路面では安定性が低下し少々扱いにくい。

比較的小さなくぼみでも全身へ振動が伝わる。平滑な路面でない限り、落ち着いたフィーリングは得にくいようだった。タイヤは10インチのチューブレスを履く。

4段階のライディング・モード

ハンドルバーは、他社の電動キックボードと比べて回転角度が小さい。スピードが出ている場合は、身体を傾けてカーブを曲がれるため気にならないものの、低速域では若干小回りが利かないと感じることもある。

とはいえ、全体的な動的能力は低くない。アクセルレバーへの反応に優れ、タイトなエリアでも軽快に走れる。角度の急な曲がり角でもキビキビと縫っていける。パワーが高まるまでに少しのラグが存在するものの、ヤキモキする程ではない。

ドゥカティ・プロ3(英国仕様)
ドゥカティ・プロ3(英国仕様)

プロ3には4段階のライディング・モードが設けられている。ペデストリアン(歩行者)・モードは速度が6km/hまでに制限され、キックボードから降りて手で押して移動するような場合に有用だ。

エコ・モードでの最高速度は14km/hで、航続距離を伸ばすことが可能。そのかわり、加速力は落ちる。電動キックボードとしては珍しいモードといえるが、住宅地の狭い路地など注意が必要な場面で便利だろう。

コンフォート・モードが、4種のモードでは1番出番が多いと思う。速度は19km/hまで出るようになり、エネルギー効率と軽快な走りとを両立できる。

スポーツ・モードは24.9km/hの本来の最高速度まで到達でき、快活なライディングを楽しめる。加速力も1段高まり、ドゥカティに乗っているという自負も湧いてくる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事