最新の自動運転で大都市を走る 中国製EVにバーチャル試乗 渋滞もスムーズ
公開 : 2022.11.08 06:05
中国のEVメーカー、シャオペンが開発した自動運転システム「CNGP」をバーチャル体験。大混雑の都市の中を走り抜けました。
中国最新の自動運転技術にバーチャル試乗
中国のEVメーカーであるシャオペン(Xpeng)が開発した「CNGP(シティ・ナビゲーション・ガイド・パイロット)」は、世界初の都市内自動運転システムである。テスラの高速道路に特化したオートパイロットをベンチマークとする技術だ。
CNGPは、車載ナビで目的地を設定すると起動し、車線変更、追い越し、合流、さらには停止している車両の周囲を走行することができる。また、信号の検出とそれに対する反応、ラウンドアバウト(環状交差点)のナビゲーション、歩行者や自転車などの障害物の回避も可能だ。
今年初めにシャオペンの市販EV「P5」に導入され、現在は中国最大級の都市、広州で使用されている。AUTOCAR英国編集部は、地球の裏側からその技術を体験することになった。
大都市広州をスムーズに走り抜ける
ロンドンのオフィスにいながら、最新のCNGPを「試乗」することになるとは思わなかった。しかし、中国がまだロックダウンの真っ只中にある今、海外のジャーナリストに与えられるチャンスは非常に限定的だ。
金曜日のラッシュアワーが近づく午後4時過ぎ、シャオペンの本拠地である広州(ロンドンの約5倍の大きさを誇る巨大都市)の中心部を走るため、5人乗りのP5に6人のジャーナリストが「詰め込まれる」ことになった。バーチャルでの運転だが、渋滞で有名なロンドンのベテランドライバーでさえ、広州の混雑ぶりには閉口してしまった。
しかし、CNGPは落ち着いている。テスラのオートパイロットに相当するシャオペンの運転支援システム「Xpilot 3.5」をベースに作られ、当初は高速道路専用に設計されていたが、街中走行にも対応するようになった。LiDARシステムを使って周囲の道路をマッピングし、リアルタイム映像とインフォテインメント・スクリーンの高精細マップを組み合わせて表示する。まるで高度な衛星ナビのようで、密集する(しかし常に揺れ動く)車両、歩行者、二輪車などが映し出されていた。
編集部はシャオペンのテストドライバー2人に先導され、世界最大級の港湾都市である広州を、交差点や脇道、大渋滞をかき分けながら走破した。GPSで目的地を設定すると、車両は最短距離と思われるルートを進み、交通量の増減に応じてルートを変更する。
とはいえ、まだまだ課題は多い。「このシステムにとって最も困難な状況は、市街地走行です。最大の難関ですね」とシャオペンのドライバーは言う。あるとき、P5が交差点を左折しているときに、他のクルマが割り込もうとしたことがあった。CNGPはすぐに自動運転を解除し、ドライバーへ操作を戻した。Uターンもまた、このようにドライバーの介入が必要とされる。
非常に混雑した街中で、CNGPは安全かつ分別のある運転により、最短距離で目的地に到着することができた。使い方は簡単で(目的地をタップし、2回フリックして起動)、わかりやすく、必要なときには操作を代わることができる。しかし、広州のような碁盤の目のような道路網がない都市(詳細な地図作成が必要なため、現在CNGPが利用できるのは広州だけ)、たとえばロンドンやアムステルダムでどのように機能するかは興味深いところだ。シャオペンは、年末までに展開する都市を増やす予定だと述べている。
CNGPは現在、先進運転支援システムのXpilot 3.5を搭載したシャオペンP5 Pバージョン(中国でのみ販売)で利用可能だ。このモデルの価格は23万人民元(約460万円)からとなっている。