まとまり感のある運転体験 トヨタbZ4Xへ英国試乗 新鮮なワンモーション・グリップ

公開 : 2022.11.22 08:25

スバル・ソルテラと共同開発されたトヨタ初の量産BEV、bZ4X。まとまり感のある運転体験を英国編集部は評価します。

車名はそのままBEVの中型クロスオーバー

少しとっつきにくいモデル名にも思えるが、トヨタbZ4XはバッテリーEV(BEV)のクロスオーバーだ。最初のbZはビヨンド・ゼロを意味し、ゼロエミッションを超えるモビリティを意味するという。4はボディのサイズ、Xはクロスオーバーを示している。

基礎構造をなすのは、トヨタのTNGAプラットフォームから派生したeTNGAと呼ばれるもの。BEV専用となっており、シャシー中央のフロア部分に駆動用バッテリーが並べられ、前後に駆動用モーターを搭載できる。

トヨタbZ4X プレミアエディション(英国仕様)
トヨタbZ4X プレミアエディション(英国仕様)

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式。リアがトレーリングアーム式を採用している。

このプラットフォームは、全長が4.3mから5.0m程度のトヨタ製BEVに共通して登用される。これより小さなモデルには別のプラットフォームが存在するはずだが、ハイブリッドをプリウスで先行した同社ながら、BEVではサイズの大きい方を優先したようだ。

bZ4Xの場合、全長が4690mm、全幅が1860mm、全高が1650mmという寸法で、ちょうどeTNGAで対応する中間の大きさといえる。定員は5名。シングルモーターの前輪駆動か、ツインモーターの四輪駆動かを選べる。

今回試乗したのは四輪駆動の方。2基合計での最高出力は218psがうたわれ、英国価格は4万8350ポンド(約802万円)から。前輪駆動は203psで、英国価格は4万1950ポンド(約696万円)からに設定された。

スペックはフォルクスワーゲンID.4に並ぶ

駆動用バッテリーの容量は共通して71.4kWh。急速充電は、最大150kWまで許容できる。車載の低速充電器は、現在は6.6kWだが、2022年末には11kWへバージョンアップされるという。

四輪駆動の場合、航続距離は413kmから460kmが主張されているが、実際の環境では2割ほど短くなる。トヨタ側も認めているが、340km前後が現実的な距離だと考えていい。前輪駆動は445kmから510kmとなっているが、こちらも甘めの数字のようだ。

トヨタbZ4X プレミアエディション(英国仕様)
トヨタbZ4X プレミアエディション(英国仕様)

パワートレインのスペックなどを比べると、フォルクスワーゲンID.4とほぼ同等。エネルギー効率という点でも横並びにある。

ドアを開くと、広々とした開放的な車内空間が広がる。荷室容量はトノカバー下で452Lと充分。リアシートの背もたれは分割して折りたためる。長さが約4.7mあるだけあって、リアシート側の空間にもゆとりがある。

ダッシュボードの取り付け位置は低めで、前方視界に優れる。内装には傷の付きやすそうなプラスティック製部品が少なくなく、ダッシュボードには薄地のクロスが張られており、優しく触れた方が良いかもしれない。なぜかグローブボックスは備わらない。

タッチモニターが中央で存在感を示すが、実際に押せるハードスイッチも少なくない。ステアリングホイール上にも沢山並んでいる。直径は小さく、シートポジションによってはメーターがリムに隠れてしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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