なぜ冬用タイヤは「ケア」が大切なのか もったいないエネルギー消費の話
公開 : 2022.11.15 18:05
タイヤのメンテナンスを怠ると、燃費やタイヤ寿命に悪影響を及ぼしてしまいます。冬用タイヤの場合は特に顕著です。今回は、タイヤケアとクルマのエネルギー消費について、簡単に紹介します。
メンテナンスを怠ると、後で高くつく
「タダより高いものはない」とは昔からよく言われる言葉だが、燃料価格や物価が高騰する今ほど適切なタイミングはないだろう。自動車用タイヤメーカーは、タイヤのメンテナンス不足がもたらす落とし穴についてずっと警告を発してきたが、実際のところ、どれだけの人がタイヤのメンテナンスを重要視しているのだろうか?
コンチネンタルは、「今、ストレスにさらされているのは財布だけでなく、タイヤも同じで、この2つはつながっている」と指摘する。冬用タイヤのサイプ(トレッド部にある無数の細かい溝)は、氷上や雪上だけでなく冷たい路面で優れた性能を発揮するよう設計されている。
そのため、冬用タイヤは変形しやすく、路面をグリップし(掴み)やすくなっているのだが、その反面、転がり抵抗が大きくなり、エネルギー効率が低下してしまう。つまり、燃費は悪化する。さらに、低温で使用するために柔らかいコンパウンドを使用しているため、夏用タイヤよりも摩耗が早くなる。
そして、どのタイヤメーカーも重要性を強調している空気圧が、エネルギー効率と寿命にさらに大きな影響を与える。コンチネンタルの技術者によると、冬用タイヤの空気圧が想定よりも0.4bar(5.8psi)低い場合、寿命はなんと30%も短くなる可能性があるという。同時に燃料費も約2%上昇するため、2週間ごとに空気圧をチェックすることを推奨している。
また、冬用タイヤは激しい運転操作の影響を受けやすいという。コンチネンタルは、ハードなアクセルワークや、ブレーキを踏むタイミングを遅らせて強くかけることなどは、トレッドの摩耗を早める「大きな負担」であると説明する。安全のためにも、先の展開を予測し、前のクルマとの車間距離を適度に置くことが大切だ。
暖かい季節になると冬用から夏用へ交換するという、タイヤメーカーが想定する使い方をそのまま実践することで、タイヤをケアすることができる。ただし、不用意に保管するとタイヤが変形したり、コンパウンドが傷んだりする可能性がある。
家庭でタイヤを保管するのは大変だが、理想的なのはホイールから外して縦置きで保管するというものだ。変形を防ぐため、ホイール無しでの横置きはできるだけ避けたい。ホイール付きであれば積み重ねても大丈夫だが、スペースの都合などでやむを得ない場合は定期的(月1程度)に接地面を変えよう。ホイール付きの場合、タイヤの負担を減らすために空気圧は適正値の半分程度に減らしておくとよいとされる。家庭で保管できない場合は、タイヤ専門店やディーラーに相談しよう。
エネルギー消費に関連して、タイヤとは別の話題を1つ。電気機器の無駄な使用についてだ。バッテリーメーカーのVartaによると、100Wの電力消費につき、100kmごとに0.1Lの燃料を消費する計算になるそうだ。大したことないように感じるかもしれないが、デフォッガーなどで約120W、ベンチレーターで約170W、エアコンで約500Wを消費することを考えると、その影響は無視できない。必要以上のエネルギーの使用は、お財布の負担となりかねないのだ。