アルピーヌ 次世代スポーツSUVで販路拡大 日産の血も流れる「GT X-Over」とは

公開 : 2022.11.22 18:05

アルピーヌは次世代の電動SUVとして「GT X-Over」の開発を進めています。販売台数の拡大を目指しつつ、アルピーヌらしいスポーティな走りを追求するとのこと。F1の技術も活かされています。

スポーティな電動SUV 2025年までにデビュー予定

フランスの自動車メーカーであるアルピーヌは、次世代の電動SUVとして「GT X-Over」の開発を進めている。動力性能を重視したスポーツ・クロスオーバーで、世界的な販路拡大を目指す重要なモデルとされている。

GT X-Overは、日産アリアルノーメガーヌEテック・エレクトリックと同じCMF-EVアーキテクチャーを採用する見込みだ。日産の四輪制御技術「e-4orce」と同じように、前後に搭載されたモーターによってアルピーヌならではの鋭いダイナミクスを再現すると思われる。

アルピーヌの次期GT X-Overの予想レンダリングCG
アルピーヌの次期GT X-Overの予想レンダリングCG    AUTOCAR

アルピーヌのデザイナー、アントニー・ヴィランは、先月のパリ・モーターショーで、大量販売に向けてスポーツカーとしての資質を捨てることはないと明言している。「ドライビング・エクスペリエンス、エレガンス、スポーティさ、そしてクルマのスタンスを維持できれば、問題ありません」と彼は述べた。

以前、アルピーヌの兄弟ブランドであるダチアのSUV、ダスターのボディを身にまとったテスト車両が目撃されている。このテスト車両では、大径のスポーツホイールをシャシーの四隅に配置し、ロングホイールベースとワイドトレッドを実現。コーナリング重視の姿勢が確認された。

アントニー・ヴィランは、「自社のDNAを守り続ける方法を模索しているメーカーは、他にもたくさんあると思います。それは可能だと思いますし、このようなクルマを求めているお客様はたくさんいらっしゃいます」と語っている。

アルピーヌは、販売台数の拡大のためにブランドの精神を注入した高性能SUVの発売を目指している。現行のA110は、1963年の初代モデルを現代的に解釈したもので、その特徴的な4灯式ヘッドライトと美しい曲線ボディが特徴だが、GT X-Overではデザインへのアプローチを一変させようとしている。ヴィランは、「A110と多くのリンクが見られるでしょう」とながらも、「より自由に探索できる」と実用性の高さを示唆した。

新型SUVを形作る上で重要な役割を果たすのが、空力効率だ。電費と直進安定性を最適化する一方で、コーナーでのダウンフォースを向上させる狙いである。公式の予告画像では、クーペスタイルのルーフライン、張りのあるリアフェンダー、低く寝かせたボンネットが確認できる。

アルピーヌのF1チームと協力し、空力開発を行った結果、航続距離が25km延びたと言われている。ローラン・ロッシCEOは、バッテリー管理システムにもF1の技術を応用する余地があると述べている。

先ごろ発表されたコンセプトカー「アルペングロー」では、そうしたレーシングカーとの技術共有の概念が示された。表向きは、水素燃焼技術を前面に押し出した過激な未来予想図だが、今後の市販車に共通する特徴や手がかりを予感させるものでもあった。

例えば、アクティブ・エアロダイナミクスは、GT X-Overの車両重量(2500kgを超える見込み)の軽減に役立つだろうし、LMP1耐久レーサーを思わせるステアリングホイールやドライバー中心のコックピットなど、スポーティなインテリアデザインもとても興味深い。

GT X-Overのパワートレインやスペックに関する詳細情報は、2024年に公開される予定だが、ルノーは今後数年のうちに最高出力272psの電気モーターを新たに導入することを明らかにしている。このモーターを既存の218psのユニットと組み合わせてツインモーター4WDにすれば、GT X-Overは500ps近いパワーを得ることになる。CMF-EVベースの日産アリアと同じ87kWhのバッテリーを使用し、重量をある程度落とせば、500kmを超える航続距離も十分に達成可能だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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